見直しませんか、自宅のインターネット契約
光回線や無線接続など、自宅でのインターネット接続サービスの選択肢が増えてきた。数年前に加入して以来、契約はそのままという人も多いだろう。高機能携帯電話(スマートフォン)でネットを主に使う人もいる。自分の生活スタイルや予算に合うか見直してみよう。
インターネットを使うには通常、通信回線の事業者とインターネット接続事業者(プロバイダー)それぞれとの契約が必要になる。回線を提供するのはNTTグループやKDDIなど、プロバイダーはニフティやNECビッグローブなどで、利用者は両方に料金を払っている。料金や通信速度を見直す際にはまず、自分の利用法に適した回線かどうかを知る必要がある。
高速で安定した通信が可能で、映像配信など周辺サービスも充実しているのが光回線だ。NTT東日本は5月16日、新たな料金プラン「フレッツ光ライト」の受け付けを始めた。「毎月定額」が常識の光回線サービスに、利用量に応じた2段階の定額制度を導入した。
最低料金は2940円(プロバイダー料金は別)。定額料金(戸建て向け)の半額に近い。月に200メガバイト(ホームページ約100ページ、メールを約100通送受信が目安)までは最低料金で済むという。それ以降は利用量に応じて金額が増え、最高額は6090円と同社の定額料金プランよりも高くなる。
料金面では光回線を使った電話サービスの実質的な割引も見逃せない。基本料は月額500円ほどで、ダイヤル回線の基本料に比べ1300円程度下がる(NTT東の場合)。停電で使えなくなる弱点はあるが、通話料金を抑えられる。
新規に光回線を契約するときは、工事費のほか当面の利用料でも大幅な割引を受けられることが多い。ただ、解約できない期間が長く設定されていたり、契約期間によっては割高になったりする場合もあるので注意が必要だ。
料金の節約を優先したいのなら、必ずしも光回線がベストではない。最近は通話やメールを携帯電話やスマートフォンなどで済ます人は多いだろう。モバイルで通信料金がかさむ分、自宅でのネット利用料金を抑える考え方もある。
ADSLは、速度に応じて複数の料金プランを設定している事業者が多い。低速プランならプロバイダー料金込みで月額2000円程度から加入できる。価格比較サイトのカカクコムでプロバイダーを担当する山下優・通信サービス部長は、メールや通常のウェブサイトを見る程度なら「低速のADSLでもそれほどストレスを感じないのではないか」と話す。
ニフティでは都市部の単身女性会員を中心に高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」の利用が増えている。WiMAXは屋内の配線や導入時の工事がいらず、端末とパソコンを無線LANなどで接続すればよい。外出時にもWiMAX端末を持ち出して、パソコンやタブレット端末をつなぎ、インターネットを利用できる。
自宅でケーブルテレビ(CATV)に加入しているなら、CATV会社が提供するサービスを使う方法もある。CATVは通信速度が安定しているとされ、高速通信が可能。映像サービスとのセット契約なら光回線などに比べ割安なこともある。
ほとんど同じサービスを提供していても、事業者によって料金は異なる。よく調べて、より安い事業者や割引サービスを選ぼう。
都内に住む30代の男性会社員は最近、契約プロバイダーをエキサイトが提供する「BBエキサイト」に切り替えた。料金が月525円と従来の事業者より800円ほど安い。電話相談などは別料金となる場合もあるが、年間1万円近い節約効果を優先したという。
プロバイダーを変更すると今までのメールアドレスが使えなくなると思われがちだが、月数百円でメールアドレスを継続できるサービスも多い。グーグルなどが提供する無料ウェブメールならプロバイダーを変更しても影響はない。
KDDIは回線と携帯電話など複数のサービスに加入した場合の割引を充実させている。自宅の電話と家族の携帯電話の間での通話料が24時間無料になるサービスもある。家族同士の通話が多い家庭には魅力的だろう。
インターネットは生活に欠かせないインフラになりつつあり、通信速度など技術革新のペースは速い。使い方によっても最適なサービスは変わってくる。自分に合ったサービスかどうか、ときどき確かめる習慣をつけたい。
(長岡良幸)
[日経プラスワン2011年5月21日付]
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