消去動作忘れずに

訓練の最後に必ず「消去動作」と呼ばれる運動を行う。目を閉じたまま両手を握ったり開いたりし、肘の曲げ伸ばし、両腕を上げて背筋を伸ばす運動を行った上で、目を開ける。

「体が休まった状態から急に日常の活動レベルに戻ると体が驚いてしまい、疲労を覚えるなど副作用がある」と坂入氏。

こうした訓練がなぜストレス解消に効くのか。坂入准教授は「80年も前に開発された方法だが、その根拠が近年の脳科学の成果からも説明できる」という。

ストレスがたまると手や足の血管が細くなって血液がめぐりにくくなり温度が下がる。また緊張しているときは肩に力が入っている。この状態を意識的に解消しようとすると、脳は逆に興奮してしまうという。

逆に受動的な態度を取ると、脳は「何もしなくていい」という指令を出し、手足の温度が上がる。このような状態の切り替えを上手にできるようにするのが訓練の目的。これによってストレスに強くなるという。

自律訓練法はストレスが原因の様々な病気の治療にもよく使われる。日本大学板橋病院心療内科の村上正人科長によると、自律訓練法は高血圧や頭痛、生理痛、慢性の胃炎、過敏性腸症候群といった症状に効果があるという。村上氏は「自律訓練法を一度マスターしておけば、リラックスのための“薬”として一生使える」と効用を説く。

(編集委員 吉川和輝)

ひとくちガイド
《ホームページ》
◆自律訓練法の研究や普及。指導の認定資格者などがわかる
日本自律訓練学会(http://www.jsoat.jp/)
《本》
◆一般の人が自律訓練法を学ぶには
「自律訓練法の実際」(佐々木雄二著、創元社)

[日本経済新聞朝刊2011年4月17日付]

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