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若者に忍び寄る味覚障害

2010/11/24 日本経済新聞 夕刊

抗うつ剤のほかにも、高血圧薬や抗生物質などの中には副作用で味覚障害を起こすものがある。

大野さんは医師の診察で亜鉛のサプリメントを処方された。食生活を改め、抗うつ剤は味覚障害が起きにくいものに変更。初めの数日は抗うつ剤の変更による抑うつ症状に苦しんだものの、今では改善に向かっている。「和食の味が分かるようになり、食べ過ぎで少し太ってしまったほど」と笑う。

味覚障害の原因は亜鉛不足と薬の副作用が代表的だが、ほかにもある。唾液が少なくなり口の中が乾く「ドライマウス」や、舌の上にたまり口臭のもとにもなる「舌苔(ぜったい)」は、味を感じにくくする要因に。精神的なストレスで発症する場合や、歯科治療で歯にかぶせた金属が原因になる場合もある。

早期発見が大事

実際には複数の要因が積み重なって味覚障害を発症することが多い。味覚異常外来がある東京歯科大学千葉病院の井上孝教授は「まず、問診で原因を明らかにしていくことが大事だ」と話す。

食生活などの生活習慣や、服用している薬の種類、ストレスの状況などを詳しく聞いていくという。

検査キットを使った味覚検査や、血中の亜鉛濃度の測定、口の中がきれいかどうかのチェックも実施する。問診と検査の結果を総合し、食生活へのアドバイスや亜鉛製剤の処方、服用中の薬の変更など、治療方針を患者に応じて決める。

重度の味覚障害になると、「何を食べても消しゴムをかんでいるよう」と訴えるほど、味が全く分からなくなる場合もある。井上教授は「進行した味覚障害は、元の状態までは戻らない場合が多い」としつつ、「早い段階であれば色々なアドバイスもできる」と話す。

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