新指針の根拠になっているのがいくつかの疫学調査だ。例えば、神奈川県伊勢原市の男女約2万6千人(男性平均年齢64.9歳、女性同61.8歳)を約8年間追跡した調査では、男性の場合、悪玉(LDL)コレステロール値が100未満(ミリグラム/デシリットル)の集団で肺炎やがんでの死亡が増え、総死亡率が大きく上昇した。女性では高い値でも総死亡率の上昇はみられなかった。

この疫学調査を主導し、新指針の策定メンバーの1人でもある東海大学医学部の大櫛陽一教授は「日本では総死亡に占める(虚血性)心疾患の割合は7%で米国よりかなり低い。LDL値140以上を脂質異常症とする07年版指針は心臓病リスクからはじき出した数字で、高いから長生きできないというのはおかしい」と言い切る。

「根拠欠く」と反論

動脈硬化学会は今月14日、反論の声明文を発表した。「脂質栄養学会の委員会が公表した指針は、根拠としている論文が研究者の精査を経ておらず、科学性が担保されていない」という。根拠を欠く指針は「指針に値しない」という立場だ。