耳そうじ、意外な落とし穴「奥まで」「ガリガリ」「やりすぎ」NG

耳かきで耳穴を探る――。江戸時代から耳あか取りの専門業者がいたというほど、耳かき好きな日本人。だが、そこには意外な落とし穴もある。耳掃除の注意点をまとめてみた。

普通は必要なし

「普通の状態なら耳かきは必要ない」と笠井耳鼻咽喉(いんこう)科クリニック(東京都目黒区)の笠井創院長は言い切る。

耳あかは、耳の入り口から鼓膜までの外耳道のうち耳たぶに近い軟骨部の皮膚の表皮がはがれ、耳垢(じこう)腺や皮脂腺からの分泌液や、外からのちり・ほこりが混じり合ったものだ。

通常は皮膚の自浄作用により自然と外へ排出されるので、特に耳かきはしなくていい。しかも耳あかには殺菌作用や外耳道の皮膚の保護、虫などの侵入防御など、重要な働きもある。「むやみに除去するのは考えもの」と笠井院長は説明する。

だが、中には耳あかがたまりやすい人もいる。1カ月で鼓膜が見えなくなるようなケースもあるそうだ。外耳道が耳あかで完全にふさがってしまうと、閉塞(へいそく)感や難聴などが起こる。また、急性や慢性の中耳炎などの疾患が耳あかで隠され、診断が遅れたり治療の妨げになったりすることもあるので、普段から鼓膜が見える程度にしておくことが重要だ。

もっとも自分では鼓膜の状態は見えないので、「1カ月ほど放置して耳の中がガサゴソしたり閉塞感があったりするようなら“耳掃除どき”」(笠井院長)。ただし、自分で耳掃除をする際には、十分な注意が必要だ。やみくもに耳かきをすると、かえって外耳道を傷める結果となる。

神尾記念病院(東京都千代田区)の神尾友信理事長・院長は、注意点として3つ挙げる。

まず耳穴の掃除は、あかが存在する軟骨部まで。それ以上奥は進入禁止だ。「目安としては小指のつめが入るくらい。入り口からほんの5ミリくらいの所までで十分」。軟骨部の奥の骨部は、骨の上に薄い膜が張り付いただけの状態だ。非常に敏感で、こすると痛みが走る。

次に掃除の仕方。ベビー用綿棒で1~2回軽く円を描く程度でいい。普通の綿棒は太すぎて、耳あかを奥に押し込む結果になるので、必ずベビー用綿棒を使う。風呂上がりだと耳の中も湿っていて取りやすい。

耳かきを使う場合は、綿棒以上に優しくなでるようにする。「耳かきを使いたいという人には、先が3連のループ(輪)状になったものを勧める」と言うのは笠井院長。弾力のあるループが柔らかく、素人でも扱いやすいからだ。

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