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昼間の眠気注意 睡眠時無呼吸症候群の恐れも

2010/6/7 日本経済新聞 プラスワン

 梅雨時や夏場の寝苦しい季節が近づいてきた。一方で、季節とは関係なく寝苦しさやそれに伴う不眠、起床時のだるさ、日中の眠気などが続くという人も少なくない。もし、そんな症状があれば要注意。睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」かもしれない。この病気は単に眠くなるばかりでなく、心臓の病気や高血圧のリスクも高める。症状の特徴や治療法についてまとめた。

睡眠時無呼吸症候群の専用治療器具「CPAP」を装着(東京都板橋区の日大板橋病院睡眠センター)

 「週末のゴルフ帰りの運転中に猛烈な眠気に襲われることがあり、危ないと思っていた。妻からは睡眠中のいびきや呼吸の途切れを指摘されていて、検査をしたらSASと診断された」。こう話すのは、5年前からSASの治療を続けている会社役員の山本祥之さん(55)。SASとは、その名の通り、睡眠中に断続的に無呼吸を繰り返し、その結果として起床時の頭痛や日中の眠気など、様々な症状が出る病気のことだ。

空気の道ふさぐ

 原因は、睡眠中の上気道(空気の通り道)の閉塞(へいそく)。あおむけに寝たときに、肥満による首の回りの脂肪や、肥大した扁桃(へんとう)、大きい舌などに上気道が押されてふさがれる。肥満のほか、あごが小さい人や顔が細長い人に症状が出やすいという。

 SASの診断基準は、いびきや日中の眠気があり、気道を通る気流が10秒以上停止する「無呼吸」と、上気道が狭くなって換気量が低下し血中酸素の飽和度が低くなる「低呼吸」を合わせた回数が、睡眠1時間当たり5回以上の場合などだ。

 SASの治療機器を扱う帝人在宅医療SAS事業推進部の山畑泰彦部長は「日本のSASの潜在患者は約300万人。一方、機器治療を受けている患者は約15万人にすぎない」と話す。この理由を神奈川歯科大学附属横浜クリニック矯正歯科の小野崎純講師は「SASは本人の自覚症状が少なく気づきにくい上、企業や自治体の定期健診でもわからないからではないか」と分析する。

 主な症状は昼間の眠気、起床時の頭痛やだるさ、夜間のひん尿、いびきなどで、病気とは気づきにくく放置しがち。しかし、居眠り運転につながるなど危険と隣り合わせの病気だ。

 さらに、20年前からSASの治療を行う日本大学医学部睡眠学・呼吸器内科学分野の赤柴恒人教授は「最近では、SASは高血圧や心疾患、脳卒中、糖尿病など、様々な合併症を引き起こすことがわかってきた。特に高血圧症になる患者が多い」と警鐘を鳴らす。

 合併症が起こるメカニズムの詳細は不明だ。しかし、「睡眠時に血液の低酸素状態が続くと動脈硬化が起こる。これが高血圧に関係し、睡眠時に何度も目覚めたり、低酸素状態になったりすることで自律神経の働きに支障が起こり、虚血性の心疾患の原因の一つになるのではないかと考えられている」と赤柴教授。

→次ページは「どのようなときにSASの疑いがあるのか」

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