デジカメ写真、失敗を防ぐ9鉄則
行楽シーズンもそろそろ本番。旅先では、家族や友達、風景など思い出に残る写真を撮りたい。コンパクトタイプのデジタルカメラを持つ人は多いが、「イメージ通りに仕上がらない」という人も。大型連休を前に、デジカメで撮る行楽写真をワンランクアップさせる方法を探った。

旅先では、屋外での撮影が増える。カメラライターの大浦タケシさんは「失敗写真で最も多いのはぶれ」と話す。遠くにあるものを写そうとズームを使って望遠にしたり花など植物を接写したりすると特にぶれやすくなるという。
手ぶれ補正機能を搭載したデジカメもあるが「ぶれを防止するには、何よりカメラを正しく持つことが基本」と大浦さん。シャッターボタンを押す右手はカメラの横から握るようにし、両手で持つ。
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「左手はカメラの下から支えるように持って」とアドバイスするのはカルチャーセンターなどで講師も務める写真家の谷口泉さん。シャッターボタンを押すときにカメラ自体も押し下げてしまうケースが多いためで、左手で下から支えておけば下振れを抑える効果がある。ファインダーがついているカメラでは、両手でしっかりと持つことに加え、顔にカメラをおしつけるように構えれば、さらに安定しやすいという。
撮りたいものや人の周りに、常に大勢の人やものがあるのも観光地の特徴。「フルオートでピント合わせをカメラ任せにしていると、一緒に画面に入っている関係のない人や手前の目立つものなどにピントを合わせてしまっている場合がある」(谷口さん)
自分の撮りたい被写体にピントを合わせるには、まずは被写体を画面の中央に置いてシャッターボタンを「半押し」してピントを合わせる。次に、半押ししたそのままの状態で撮りたい構図になるようにカメラを移動させる。この方法は「オートフォーカスロック」と呼ばれ、慣れれば、どこにでもピントを合わせられるようになるという。
もうひとつ注意したいのは写真に影が写りこんで暗くなってしまうケース。被写体の真後ろから光が差す逆光の場合、被写体自身の影で顔などが暗くなってしまう。「通常はフラッシュはなるべく控えるほうが自然な写真が撮れるが、逆光のときはフラッシュを使うと影がなくなることもある」(大浦さん)
女性向けのカメラ教室で講師を務める写真家の高井晶子さんは「今は逆光補正の機能があるカメラもある。特に女性はカメラに備わっている機能を把握していないことが多いが、一度確認してほしい」と話す。
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デジカメは多機能だが、画面のなかでどこに何を配置するか、どんなテーマで撮るかなどを決めるのは自分。旅先での様子を生き生きと残すにはどうしたらいいのか。
谷口さんは「ポイントは主役を大きくとること」と話す。伝えたいテーマを表すものが主役、それを引き立てるのが脇役だ。風景や建物、人物など、全体を無理に1枚の写真におさめようとせず、自分が決めた主役を大きく撮ると印象的な写真になる。
「寺社の建物の装飾が主役ならその装飾を、同行者の笑顔が主役ならその笑顔を大きく撮ろうと心がけるといい」と谷口さん。人物を含めた写真を撮るなら「顔の表情がはっきり分かるように撮ると生き生きとした写真になる」。
やってしまいがちなのが人物が豆粒のように小さくなってしまう写真。大きな建造物や高い塔などと人を一緒に写すとき、撮られる人は建物や塔にできるだけ近づこうとカメラから離れがちだが、それでは表情が読めなくなってしまう。
「撮影者は最初に建物や塔だけでカメラの位置を決めて、写る人はカメラから少しずつ下がるようにして、離れすぎないようにする」と高井さん。表情の分かる大きさで人物と建物を1枚の写真におさめることができる。
[日本経済新聞朝刊4月17日付]
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