迷惑メール、撃退のための14カ条
自動振り分け・受信拒否も
電子メールは日常生活に不可欠な連絡手段となりつつある。ところが悪意を持って発信される迷惑メールが増える一方で、しっかり対策を講じなければメールを安心して利用できない状況が続いている。従来と比べれば有効な迷惑メール対策が変わってきた。最新の対策法をまとめた。
「メールソフトの受信トレイを大量の迷惑メールが占有し、肝心のメールを見逃してしまった」。こうした苦い経験がある人は少なくないだろう。迷惑メールの問題に詳しいパソコン総合誌・日経パソコンの勝村幸博さんは「セキュリティー企業やプロバイダーなどの調査結果を総括すると、世界中でネットを流れるすべてのメールのうち8割前後が迷惑メール」と指摘する。
迷惑メールの内容をみると、出会い系サイトの広告が最も多い。メール本文に書かれたホームページのURLをクリックすると、脅迫まがいの架空請求をされたりする。
国内の主なプロバイダーや携帯電話会社は悪質な業者が迷惑メールを配信できないように対策を取っている。だが海外には対策が不十分なプロバイダーがあるため、そこから依然として大量の迷惑メールが送られ続けているのだ。
迷惑メール対策の第一歩は受け取っても無視すること。開封したり、抗議のメールを返信したりするのは厳禁だ。迷惑メールの仕掛けはどんどん巧妙になっている。「本文中のURLをクリックしたり、画像をダウンロードしたりするだけで、相手に自分のメールアドレスを知られる可能性が高い」(勝村さん)。
迷惑メール関連の著書が多い持丸浩二郎さんは「配信停止の手続きを案内している迷惑メールは一見良心的に見えるが、それは有効なアドレスを把握するための罠(わな)。手続き後に迷惑メールがかえって増えることが多い」と警鐘を鳴らす。
メールソフトには開封確認を自動的に送信元へ返す機能が付いているが、これも迷惑メール業者にアドレスを把握される原因となるので、設定はオフにしておく。
メールアドレスを第三者に知られないように細心の注意を払うことも大切だ。例えば電子掲示板やブログなどに自分のアドレスを表示しておくと危険だ。迷惑メール業者はネット上のアドレスを自動収集するソフトを使い、メールを送りつけてくるからだ。
懸賞サイトやメールマガジン、電子商取引などで使ったアドレスが迷惑メール業者に転売されているケースもある。こうしたネットサービスをまったく使わないわけにもいかない。「その場合はヤフーなどが無料で発行するアドレスを取得し、登録に使うのが無難」(持丸さん)。
既に迷惑メールの洪水にお手上げの人も多いだろう。従来はトレンドマイクロやシマンテックなどが販売するセキュリティーソフトの対策機能を使うのが一般的だった。最近ではプロバイダーが無償で提供する対策も迷惑メールを選別する精度が向上しているので試してみるといい。
◇ ◆ ◇
プロバイダーの対策機能は、迷惑メールをプロバイダーのメールサーバー側で振り分ける「振り分け型」と、目印を付けてユーザーのパソコン側で分離しやすくする「目印型」がある。振り分け型は、迷惑メールをパソコンで受信しなくて済むので「安全性は高い」(持丸さん)。ただし、サーバー側で迷惑メールと判定されたものは一定期間がたつと消去されるので、その前に重要なメールが含まれていないかどうかをブラウザーからチェックする必要がある。選別基準の強弱を調整できるサービスもある。
一方で目印型の場合は、パソコンで自分が作った専用フォルダーに迷惑メールがたまっていくので、自動的に消されてしまう心配はない。
プロバイダーによって、提供する対策は異なり、中には有料のサービスもある。それぞれの長所、短所を理解して最適な対策を選ぼう。
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