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職場の知恵

親への「ありがとう」手伝います 孝行支援ビジネス 還暦祝い・訪問美容・絆ギフト…

2014/1/6

 親に感謝の気持ちを届けようとしている人を手伝いたい、と新たな活動に一歩踏み出す人たちが目立つようになってきた。普段はなかなか表に出せない「ありがとう」の気持ちを贈り物や催しの演出に託し、親子のコミュニケーションを後押しするような仕事だ。根本にあるのは自分自身の親への思い。親と子の橋渡しに奔走する人たちの姿を追った。

■祝いの席を設定

温泉で開いた等々力道也さん(左端)ら一家の「感歴祝い」

 「親のなれそめなんて初めて聞いたよ」――。栃木県北の奥塩原温泉。久しぶりに集う親子3世代の8人が、懐かしい写真満載のDVD映像に見入っていた。場面が変わるたびに思い出話が盛り上がる。タクシー会社で働く等々力道也さん(51)が父の米寿を記念し、東京の両親や海外暮らしの兄に声を掛けて催した「感歴祝い」での一幕だ。

 和やかに進行する祝いの席を笑顔で見守るのが金田雅子さん(38)。人生の節目となる還暦にちなんで名付けた親への感謝の催し「感歴祝い」の仕掛け人だ。何度も打ち合わせを重ね、宿の手配から祝宴の演出まで裏方として支えた。等々力さんも「家族が集まるなんてなかなかない。50年一緒で初めて知る親の一面もあったよ」と感慨深げだ。

 金田さんはもともと宇都宮市でブライダルフラワーコーディネーターとして働いていた。感歴祝いを思い立ったのは4年前、義母が還暦を迎えた時。一人暮らしの義母とはどこか距離があった。何か会話の糸口をと、結婚式の演出を参考に宴席を企画した。

 「なかなか伝えられなかったけれど、ありがとう」。親族20人近くが集まった場で、金田さんが思いをつづった手紙を読んだ。「涙を流して喜んだ義母の姿は忘れられない」。これは親子の思いをつなぐ場になる、と直感した。

 最初は勤め先で事業化を提案したが、すぐには無理。それならばと個人で動き始め、賛同者を探した。ドイツ駐在時に母が作ってくれたギョーザを家族で再現して喜び合う姿、結婚式では口にできなかった思いを吐き出したスピーチ、自分の最期の希望を語り出す親の表情……。様々な親子に触れて「これを仕事にしたい」という思いは強くなった。

 東日本大震災の直後は絆ブームに乗っているようで気がとがめ、やめようかと考えた。ただ「いつ何があってもおかしくないからこそ、伝えなかった後悔はしてほしくない」と思い直す。ビジネススクールの社会起業大学(東京・千代田)で基本を学び、昨年11月には会社組織にした。

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