病に倒れた伴侶支える 40~50代の選択

誰を介護するにも苦労は尽きない。だが、40~50代の働き盛りで、伴侶が完治しない病に倒れたら――。仕事と介護、家事、育児までもがその肩にのしかかり、親の介護とはまた違う難しい問題を抱えることになる。そんな状況でも光を見いだそうと懸命に生きる夫婦の姿を追った。

クタクタの毎日

「50代でも違和感なく参加できるデイケアサービスがあればいいのに」と語るB夫さん(岐阜市)

「もっと早くから体のつらさをわかってあげていれば」。首都圏に住む40代の会社員A夫さんは今も反省する。妻にリウマチのような症状が出たのは30歳を前にしたときだ。だが病名は特定されなかった。その後、出産。子どもが小学校に上がると、症状は徐々に悪化していった。朝目覚めてから数時間は体のだるさがひどい。外出もほとんどしなくなった。仕事に追われて全く余裕のなかったA夫さんは、朝起きてこない妻を責め、夫婦げんかはしょっちゅうだった。

40歳を過ぎると剣山で刺されるような痛みが走るようになる。これはおかしいと国立病院で精密検査を受けてもはっきりしない。3年後には痛みが全身に回った。A夫さんが専門医を探し出した結果、リウマチと免疫疾患の併発と診断された。発症してから15年もたってのことだ。

今、週末の買い物と料理、子どもたちの朝の世話はA夫さんがこなす。日々の買い物はネットスーパー頼み。時間の融通の利く職場に異動したのがせめてもの救いだ。仕事を最優先にしたいと思うこともあるが「今の状態では無理」とも思う。「痛みがもう少し治まり、普通に外出できるようになれば」と明日への希望を託す。

岐阜市在住の会社員、B夫さん(57)は左の手脚が不随の妻(53)の介護に明け暮れる。1年前に突然、脳内出血で倒れた妻は、要介護度が中程度の3の状態で、半年後に病院から戻ってきた。平日はデイサービス、通所リハビリ、訪問介護を駆使し、介護にかかる費用は月5万~8万円。障害年金をそれに充てる。

B夫さんの1日はといえば、6時には起きて妻のトイレや歯磨き、着替えを手伝い、簡単な朝食を食べさせる。家を出るのは7時半。19時に帰宅するや洗濯物を取り込み、妻をトイレに行かせ寝間着に着替えさせる。夕食は出来合いの総菜、妻は月決めの宅配弁当だ。話を聞いてやりながら夕食を食べ、その間に洗濯機を回し、食べ終わってから洗濯物を干し……。平日の睡眠は4~5時間。クタクタの毎日だ。

仕事と介護の両立は大問題だ。部下を残して真っ先に帰宅し、月2~3回は半休を使う状況。会社への貢献度を問われたら「めちゃくちゃ不安」という。実は定年後を考え、資格取得の勉強を始めようと思っていた矢先に、妻が倒れた。描いた青写真は遠のき、焦りでいらいらもする。

三男はまだ大学生。同居する次男は夜勤が多く、すれ違いだ。希望は持ちたいし明るくも振る舞うが「この先、体力が衰えたら夫婦2人どうなるのか」と不安な気持ちに揺れている。

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