出世ナビ

職場の知恵

若い世代に広がる「積極的な地方志向」

2013/2/4

30代までの若い世代を中心に「積極的な地方志向」が広がっている。都会が嫌いなわけではない。仕事と暮らしの双方の充実感を大切にしながら、新しい働き方を模索した結果、地方のメリットに気づいたためだ。そんな若者たちの地方生活を追った。

徳島県神山町。ネットなど通信環境が整備されIT関連企業の進出が増えている山あいのこの町に1月、20代半ばの若者が移住した。名刺管理のクラウドサービスを手掛ける三三(東京都千代田区)が設けているサテライトオフィスで働く中西晃信さん(24)だ。

■東京と変わらず

尾野さんは地方移転で専門書古本通販事業を軌道に乗せた(島根県川本町)

中西さんは営業担当。営業は面会して信頼関係を築くのが基本だが、新しいビジネスモデルに挑戦すべく「通信回線を主体にした営業に切り替えるよう、会社に提案した」。昨年末にカメラシステムを使って業務を試行。営業の神髄は結局、提案の内容次第なので「問題なさそうだと分かった」。

神山町のオフィスは、企画開発担当の社員が2週間~2カ月ほどの期間限定で利用していたが、中西さんは東京から移住することを認めてもらった。自然の中で過ごすのが好きで、休憩時間は近くの川などへリフレッシュに出かけられる。会社の朝会などはネットを通じて動画で参加できるので「東京と変わらない」。この地で新しい働き方を成功させようと意気込む。

■地方移転で固定費圧縮

「ビジネスを続ける上で移住は正解でした」。島根県の山間部に位置する川本町で06年から専門書古書通販を手掛けるエコカレッジ社長の尾野寛明さん(30)はさらりと答える。

一橋大学在学中に「授業で使う本は高い。先輩から後輩へ有効活用できないか」と起業。東京で事業展開したが、専門書は販売回転率が悪いため多くの在庫を抱える必要がある。大学のフィールドワークで縁ができた島根県に通ううちに、ネット上で販売し大手物流業者を通して発送すれば、島根でも問題なく事業ができるとひらめいた。「倉庫の賃料は東京の100分の1。固定費を大幅に減らせた」ことで軌道に乗り、現在は倉庫2カ所に15万冊の品ぞろえ。地元の障害者を含む8人を雇用する。

自身は埼玉県育ち。「東京で一旗揚げるというのは一昔前の発想。都会に残ることにこだわりはない」という。県の定住対策や起業支援に協力して本業以外でも地域と関わりを深める。

若者の地方移住は、地元企業や役所などへのUターンやIターンがこれまで主流だった。だが大手企業でも終身雇用が揺らいでいる現実を、若い世代は冷静に見つめる。通信環境が整備されていれば、地方でもビジネスはできる。オフィスや住居の賃料は安く、自然環境や人情に恵まれている。それならば地方で働こうと「合理的移住」を選ぶ若い世代が登場している。

出世ナビ 新着記事

ALL CHANNEL