名刺交換したいけれど…同期のタブー
減るポスト、ためらう気持ちはわかる
「おまえが課長かよ、偉くなったもんだな」
「へー、そっちは支店長さまかい」
現役バリバリだった当時、同期の仲間と飲み会で会うと、決まって名刺交換から始まったものだ。近況を知るには手っ取り早かったからだ。だが、最近はちょっと違う。「名刺ちょうだいよ」と言っても渋られ、最後までくれない友人が増えてきた。
会社勤めも50歳代になると、おのずと先が見えてくる。社内のポストは減り、出世コースに乗る人は一握り。大企業に入社したものの、今はその関連会社にいたり、銀行から取引先の中小企業に移ったりして働く仲間も多い。
最近はすぐにピンとこない肩書が増えていることもある。カタカナでやたら長かったり、一目見ただけでは仕事がイメージしづらいものだったり。
同世代は競争相手でもあったから、やはり今どんな立場で仕事をしているのかが気になる。とはいえ、説明が面倒な事情や口にできない思いを抱える同期が増えたのも確かなのだろう。
でも、様々な思いを抱え、今をともに走る仲間だからこそ、若いころのように名刺を交わしたい。退職すれば名刺ともおさらばさ。
美魔女はいつまで走る
美魔女ブームとやらで、年齢を感じさせない若さをアピールするアラフォー以上の女性が増えている。実年齢と見た目のギャップがあるほどもてはやされるので、年を聞かれてもズバッと答えてニッコリ笑う。そんな女たちにとって同窓会は格好のアピールの場だ。
実際、50歳代ともなると同窓会で気になるのは「あの男(ひと)」ではない。アラフォーのころの同窓会で男性陣の変貌ぶりには驚かされた。それ以後、男の見た目には興味がなくなったが、逆に目が行くようになったのが女の変化だ。
美魔女を支える商品・サービスはあふれている。化粧品、美容家電、エステ……。大学病院にも美容医療がある時代だけに「同窓会を契機にメスを使わないプチ整形を始める人は多い」と医師も言っていた。人気なのはヒアルロン酸注射によるしわ取り。しわにはボトックス注射もある。
そうして生まれ変わった彼女たちからすると、時の流れのままに過ごす女は「よくそれで外を歩けるわね」と言いたくなる存在らしい。でも、逆に違和感を覚えるのは私だけではないでしょう。絶対に口にすることはできないけれどね。
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