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職場の知恵

中高年がフルマラソンやボクシング 限界に挑み充足感得る

2012/11/19

フルマラソンやボクシングなど、過酷なイメージが強かったスポーツに魅せられる中高年が増えている。付け焼き刃では歯が立たない世界で、自らと向き合うように心と体を磨き、「もっとやれるはず」と日常の中に自分なりの手応えを探す。単なる健康志向では説明できない限界に挑む彼らの生活と心境を追った。

■プロ選手に交じって練習

ボクシングの大会出場を目指してトレーニングに励む横井昭裕さん(東京都渋谷区)

「もう少し距離取って」「ナイスボディー! そうそう、左に回って」。玩具企画・開発を手掛けるウィズ社長の横井昭裕さん(57)は週2回、オザキボクシングジム(東京都渋谷区)で20歳代のプロ選手らに交じって練習する。汗を出すためにストーブをたいた室内は熱気にあふれ、実戦形式の練習を終えた横井さんは息を切らして座り込んだ。

昔から格闘技は好きだった。バンダイ勤務から独立してウィズを設立、1990年代後半に大ヒットした携帯型ゲーム「たまごっち」を生み出した。2005年に株式公開するなど「次の生き方」は順調だったが、仕事に忙殺される中で、ふとボクシングをやりたくなった。元来が「何事もきわめたくなる」凝り性。さらなる「次」をめざし、33歳以上を対象にしたアマチュアボクシング大会「ザ・おやじファイト」に来年早々出場しようと、この夏から本格的に練習を始めた。

息切れするのでたばこはやめた。階級制限の64キログラムまで残り1.5キログラムを落とすため、往復50キロメートルの自転車通勤、なわとびやランニングと、仕事の合間を見つけては体を動かす。「素人同士とはいえ殴り合いだから怖い。でも、仕事もオフも一生懸命でいたいから目標を決めた。年を取るにつれて、しょぼくれてしまいそうになる自分を奮い立たせるために」と意気込む。

■一段上を目指したくなる

元日本スーパーフライ級王者でジムのトレーナーの木谷卓也さんによれば、近年40~50歳代の入門者が増えた。「当初はダイエット目的の人も、同世代の頑張りを見て一段上を目指したくなる。仕事も肩書もない“第二の自分”が、毎日のハリになるのでは」とみる。

大手電機メーカー勤務の相沢真徳さん(45)は、昨年トライアスロンを始めた。25メートル泳げない、中学以来30分走ったことがない、体重は80キログラムを超えて健康診断で指導を受けるレベル。ゼロからの挑戦だった。

朝6時15分から川崎市で水泳、夜7時から品川区でランニング――。東京と神奈川に拠点を持つアヤトトライアスロンスクール(東京都渋谷区)に「月12回は通う」相沢さんの予定はぎっしりだ。残業で参加できない日も多いが「仕事もダイエットに失敗した時も、いかに自分に言い訳をしていたかに気付いた」という。

相沢さんは独身。「40を過ぎると交友関係も硬直的になる」と実感する。スクールに集まる幅広い世代の仲間がひたむきに取り組む姿に意欲を新たにする。現在の体重は66キログラム。来年は今年より長い距離の大会に出ようと決めている。

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