備品の次に消えるのは… 職場の節約の行方
大人コドモ、分別したい
その彼女が「なかなか節電・節約が徹底されない」と嘆く。問題は会議などと異なり、公式ルールを徹底しにくい職場生活の部分だ。
帰り際にパソコンのコンセントを抜いていかない。誰もいないのにテレビがこうこうとついている……。「簡単なことなのに、なぜできないのかなあ」とつぶやく彼女に、思わずうなずいた。文具の節約は困ることも多いが、電源を切るくらいは誰でもできる。
さらに同感したのがゴミの分別。燃えるゴミ用のゴミ箱にプラスチックの弁当箱やペットボトルが投げ込まれる。1年前よりはましになったが、それでも「うっ」と思うことが多いとか。回収費用に響くはずだ。
男職場にはこの手の節約ができない大人コドモがぞろぞろいる。「なんでだろうね」と顔を見合わせた。
僕の替え芯、あるのかな
節電や経費削減でムダをなくすのは大切だと思うが、最近の職場は昼も暗い場所が増えた。常備の備品も次々姿を消す。なにしろトレーシングペーパー1枚を入手するのにも、申請書と上長のハンコが必要なのだから、正直気が滅入る。
近くの文具売り場をのぞくと、ずらりと並ぶボールペンコーナーの隣にほぼ同じスペースで替え芯が売られているのには驚いた。店員も「以前は注文があった時だけ倉庫から出して売っていた」と苦笑い。替え芯は1本数十円で新品のボールペンより安い。それだけ需要があるのか。
そういえば社員手帳を廃止する会社が増え、自前で用意せざるを得ない人も増えたとか。だからか店には1年半使える手帳なんてものも並ぶ。従来品と同じ値段に据え置き、お得感があると言われてもね。
「みみっちい。そこまでけちるなよ」。同僚と一杯やると誰からともなく愚痴が漏れてくる。「エコ」や「リサイクル」という社会貢献もうたって、会社はこれでもかとコストカットを迫り続ける。「次はオレかな」と自嘲(じちょう)気味に同期の一人。僕の替え芯、あるんだろうなぁ。
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