インド版「巨人の星」の裏に意外な人脈図編集委員 小林明

講談社国際事業局担当部長 古賀義章さん

講談社国際事業局担当部長 古賀義章さん

――なぜ日本アニメをリメークしようと考えたのか

「初代編集長として創刊した雑誌『クーリエ・ジャポン』を軌道に乗せた後、上司から『次に何がやりたいか』と聞かれ、すぐに『インドで事業がしたい』と答えた。大学2年のとき、4カ月ほどインドを貧乏旅行した体験が頭に強く残っていたから。『クーリエ』創刊時もゼロからのスタートだった。ものを作ってきたという自負がある。誰もやっていないことがしたかった」

――インド版「巨人の星」では野球をクリケットに置き換えた

「インドの人気スポーツはやはりクリケット。子どもたちがボールとバットを持ち、狭い路地裏で遊んでいる。昔の日本の風景とよく似ているので瞬時にひらめいた。高度成長期の日本も建設ラッシュ。貧しかったけど、活気があった。すんなりと受け入れられる土壌がインドにはある。ヒットするという可能性を感じた」

――インドでのビジネスの大変さは何か

「市場調査からパートナー探し、契約交渉などすべてがゼロからの勉強。日本アニメのリメークは初めての試みだし、生活習慣や文化、商慣習が違うことも大変だった。ただ、中国のように外国アニメの放映に規制はない。法社会なので著作権への意識も決して低くない。市場は巨大だし、成長も期待できる。クリケットを題材にしており、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、豪州、ニュージーランド、南アなどへの展開も可能。コンテンツ輸出のモデルケースになりうると思う」

博報堂出版・コンテンツビジネス局アカウントディレクター 宇都宮毅さん

博報堂出版・コンテンツビジネス局アカウントディレクター 宇都宮毅さん

――プロジェクトにかかわったのは「東京五輪世代」が多い

「僕も古賀さんも1964年生まれだし、気が付けば同世代が多くて驚いた。おかげで色々助けてもらった。このプロジェクトは与えられた仕事ではなく、自分たちの中からわき上がった夢。勝手に企画書を作り、イメージビデオを作り、励まし合いながら、一つ一つ壁を突破してここまでこぎ着けた。クール・ジャパンはオタク文化だけじゃない。『スポ根』だってあると感じていた」

――マーケティング戦略としてどう展開する

「子どもだけでなく家族で見てもらいたい。そのため、子ども向けアニメのチャンネルとはあえて組まず、一般チャンネルの大手、カラーズを通じて放映することにした。放映時間も日曜日の朝10時。家族そろって視聴できる時間帯だ。インドでは土曜日も働くし、日曜日の午後には映画館などに外出してしまう。大人の視聴者も獲得できれば、スポンサーにとって大きな魅力になる」

――インドのテレビ放送業界はどんな状況か

「地上波はほとんどなく、衛星放送かケーブルテレビが主体。全体の2億3千万世帯のうちテレビの所有世帯は60%。様々な現地語放送があり、テレビ局は600以上ある。平均世帯人数は5.5人で大家族で視聴している。映画、ドラマの人気が高い。インド版『巨人の星』もアニメというよりもドラマとして展開したい」

読者の皆様のコメントを募集しています。コメントはこちらの投稿フォームから
エンタメ!連載記事一覧
注目記事
エンタメ!連載記事一覧