日本は洗濯機もガラパゴス? 日米欧で方式なぜ違う編集委員 小林明

最近、取材先から興味深い話を聞いた。洗濯機の構造が日本、米国、欧州で大きく異なっているというのだ。「そもそも、日米欧の洗濯文化の違いなんですよ」。日本石鹸洗剤工業会の洗たく科学専門委員長の山田勲さん(花王・上席主任研究員)がこう教えてくれた。取材を進めてみると、日米欧の洗濯にまつわる意外な歴史や秘話が浮かび上がってきた。

「桃太郎」が洗濯文化の原点?

「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。毎日、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました……」

誰でも知っている日本のおとぎ話「桃太郎」。

実はこの冒頭の部分に、日本の洗濯文化の原点が読み取れるのだという。

その説明を始める前に、まず基礎知識として、日米欧で主流になっている洗濯機の構造について確認しておこう。

日米欧の洗濯機の構造をまとめたのが図1である。

日米欧で歴史・風土・環境などが異なる

欧州で主流なのは多数の小穴が開いたドラムが回転する「ドラム式」。ドラムの中の衣類などの洗濯物を持ち上げては水面に落下させ、たたき洗いする。一方、米国で主流なのが「かくはん式」(アジテーター式)。洗濯槽の底から垂直に突き出したかくはん翼が水をかき回す。

日本でおなじみなのは「渦巻き式」(パルセーター式)。羽根(パルセーター)が洗濯槽の底部で回転し、強い水流を起こす。

これら3つの方式が、日米欧で主流の洗濯機の構造であるとされる(ただ、最近では日本や米国でも「ドラム式」が普及しつつある)。日本の家電メーカーの技術力、営業力からすれば、「渦巻き式」の洗濯機を欧州や米国に積極的に輸出していてもよさそうに思うが、意外にも欧州や米国では日本の「渦巻き式」はほとんど見られないという。

やはり、それぞれの地域の歴史や風土、自然・住宅環境などに根付いた独自の洗濯文化が「輸出の壁」になっているためだ。

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