もてもて理系女子、広がる活躍の場小説やコミックの主人公にも

2012/6/17

ブームの予感(日経MJ)

進学や就職で理系を選んだ女性を「理系女子」と呼ぶ。かつてはきまじめでとっつきにくいようなイメージがあった理系女子も、活躍の場が社会に広がるにつれ、後輩や男性から「かっこいい」とみられ始めている。厳しい就職環境の長期化や人生設計に対する漠然とした不安が「理系」の再評価につながっている。その波は当然のごとく、女性にも及ぶ。理系に進んだ先輩たちが、後輩の進学を支援する動きも広がっている。
「先輩リケジョ」の運営を支える矢部純代さん(左)と大沢史佳さん(東京都文京区)

「かっこいい」「魅力的」

「イメージと違い魅力的」「かっこいいと思った」「数学が苦手なので文系にいこうとしたが、やっぱり理系でがんばろうと思った」。東北大学が女子高生にアンケートした結果だ。

東北大は2006年から、自然科学を専攻する女子大学院生が女子高生らに理系の楽しさを伝える「サイエンス・エンジェル(SA)」という事業を手がけている。始めた目的は、将来の女性研究者の発掘。大学での勉強や研究テーマ、理系ならではの暮らしぶりから理系科目の入試対策まで、女性同士の親近感もあって話は盛り上がる。

12年度は過去最多の57人の院生が事業に参加、東日本各地の女子校などに赴いている。中には「自分も高校生の時、SAの先輩と出会い、理系を選んだ」というメンバーもいて、継承のサイクルができはじめている。



先輩が無料で進路相談

理系女子が後輩女子を理系に導き入れる動きはほかにもある。講談社が2010年4月に創刊、隔月で発行する無料雑誌「Rikejo(リケジョ)」で読者の支持を得ているサービス「先輩リケジョ」だ。リケジョは「理系女子応援マガジン」として、理系を目指す女子高生らに雑誌のほかイベントなどで情報を届ける。現在、インターネット専用を含む会員数は約1万1千人。3年後には会員数を4万人に引き上げたいという。

先輩リケジョの仕組みはこうだ。創刊当時に高校生読者だった現役女子大生や、職場紹介の取材に協力した社会人の女性など、約300人からなる組織が、ネット上で無料で進路相談などに応じる。先輩リケジョのとりまとめ役を講談社から受託する、コミュニティー形成支援のエンパブリック(東京・文京)の矢部純代さん(46)は自身も早稲田大学大学院理工学研究科を修了した「リケジョ」だ。

今は「生物女子部」という企画に取り組む。先輩リケジョの有志が「生物」の楽しさを伝える冊子を独自に編集し、今年夏にも全国の高校などに配布する考えだ。

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理系学部人気、女子が下支え