GPS携帯 町歩きの友
お薦めの店を質問、友人と共有
全地球測位システム(GPS)を搭載した端末の位置情報を使って店を調べたりゲームをしたりできる新サービスが続々と登場している。スマートフォン(高機能携帯電話)など様々な端末を使って外出先で利用することが可能だ。インターネットの検索サイトで情報を調べるのとはひと味違った情報源として活用されそうだ。
生きた情報ゲット
「六本木の安いワインバーを教えてください」。外国人観光客向けに通訳兼案内をしている安井久美さん(31)がNTTレゾナント(東京・港)の情報サービス「PinQA(ピンカ)」で質問すると、同サービスの利用者2人から即座に回答があった。
ピンカは「おいしいお店」などの情報を詳しい人に尋ねることができるサービス。GPSと「グーグルマップ」に連動しており、ある地点でグルメ情報などを質問すると、近くにいる利用者やその地域のお店情報に詳しい利用者が回答する。
例えば「東京・渋谷のおいしいラーメン屋を知りませんか」と質問すると、渋谷近辺にいる利用者などが「A店かB店がおすすめです」といった形で回答する。利用料は無料だ。
外国人からガイドブックに載っていない店に連れて行ってほしいと言われる安井さんは「口コミのような生きた情報が手に入るのが便利」と話す。
ライブドアが提供する位置連動型ネットサービス「ロケタッチ」も人気を集めている。同サービスは自分の周囲2キロメートル内の店舗や施設のリストを表示。リストの中から選ぶことで、自分が訪れたお店や観光スポットなどを地図上に記録できる。
IDを交換すれば、友達が訪れた場所を地図上に表示でき、店情報などを共有することが可能だという。
リストに登録されているのは病院や駅、公共施設なども含め44万件以上もある。登録されていないスポットがあれば、自分で作り出すこともできる。会員数は1月末で2万5000人を突破した。
4月からは人間同士の交流情報も記録できるようにする。ロケタッチのユーザー同士が会った時に登録しあえば、いつどこで誰に会ったのかという情報を保存できる。
移動して街を育成
GPSを使った情報提供とゲームを組み合わせたサービスもある。コロプラ(東京・渋谷)が手掛ける携帯電話向けゲーム「コロニーな生活PLUS(コロプラ)」だ。
「コロプラ」は携帯電話を使った街の育成ゲーム。携帯を持って移動した距離に応じて仮想通貨が獲得でき、街を発展させられる。
ゲームを進めるのには携帯電話を持ってたくさん移動することが必要だ。コロプラではより全国各地を楽しく巡れるように、日本全国の優良なお土産を認定し、店に直接行くと商品を限定アイテムとして入手できる仕組みを取り入れている。
コロプラが認定するお土産の基準は「旅費をかけても買いに行くべきいい商品」。社員約100人全員で試食会を実施し、毎月5~6店を認定する。
野村総合研究所の桑津浩太郎さん(47)は「位置情報の活用は携帯電話向けサービスの大きな潮流になる」と指摘する。位置情報を使ったSNS(交流サイト)などは「ジオメディア」と呼ばれ、米で先行し日本にも徐々に浸透してきた。「ツイッター」に続く新たなサービスとして期待されている。手持ちの携帯電話にGPSが付いているならば、ぜひ一度試してみては。(産業部 渡辺直樹)
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