新生活準備、ネットで賢く 部屋探しや住所変更手続き
4月からの新年度。進学や就職、転勤などで新生活を始める人も多いだろう。部屋探しや引っ越し準備、家電・家具の買いそろえ、電気・ガスの住所変更などやることは多い。進化したスマートフォン(高機能携帯電話)向けアプリケーションやサイトを上手に使いこなせば、時間や手間はかなり省ける。仕事の引き継ぎや送別会などに時間を配分できるように工夫しよう。
スマートフォン活用
「土地勘のない場所でも物件を探しやすい」。浜松市に住む会社員の小瀬戸直希さん(28)が評価するのは、不動産情報会社ネクストのサービスだ。不動産情報サイト「HOME'S(ホームズ)」で入居者募集中の約280万件を含め計460万件の物件情報を2つのスマートフォン向けアプリに提供する。ともに「拡張現実(AR)」と呼ぶ技術を応用したアプリだ。
一つは頓智ドット(東京・新宿)が運営する「セカイカメラ」。アプリを起動しスマートフォン内蔵のカメラに目前の景色をかざすと、「エアタグ」と呼ぶ写真やイメージの付加情報が景色に重なって表示される。画面のエアタグに触れると、家賃や間取りなどを見られ、仲介する不動産会社に電話や電子メールで問い合わせられる。街を歩きながら部屋探しができるというわけだ。
もう一つのアプリ「レイヤー」は現在地から半径最大5キロメートルの範囲で物件を検索する。米グーグルのインターネット地図サービス「グーグルマップ」と連動し現在地から該当物件までの経路も表示できる。例えば新しい職場や通いやすい駅から半径何百メートル以内の物件を検索して実際に見に行くといった使い方もできそうだ。ただ全地球測位システム(GPS)の精度はばらつきがある。多少の誤差は織り込んでおこう。
「サイト上にある内装を撮影したパノラマ写真と、アプリを組み合わせれば不動産会社が案内するのとあまり変わらない」。ネクストHOME'S事業本部の橋本勝洋さんはこう指摘する。アプリで住みたい物件の候補を絞り込んでおけば、物件決定の時間も短縮できそうだ。
新居が決まれば次は引っ越しの準備だ。東京電力が運営するサイト「引越コンシェルジュ」が便利だ。「引越れんらく帳」に名前や引っ越し先の住所などを一度入力すれば、電気・ガス・水道などの住所変更手続きがまとめてできる。何度も現住所と新住所を連絡する手間が省ける。2002年に始めたこのサービスは、現在では電気10社、ガス7事業者、16の水道事業者などが対応する。引っ越しシーズンの昨年3月には1万人超が利用したという。
家電・家具をレンタル
単身赴任者や一人暮らしの若者には家電・家具のレンタルサイトが便利だ。大手のサークランド(東京・江戸川)の「かして!どっとこむ」では、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジの新品4点セットが2年で9万2000円からレンタルできる。1点ずつ店舗で買う時間や手間が省けるうえ、不用になっても処分費用が要らない。「買いそろえるのに比べて割安」(同社)で、利用者は増加傾向にある。10年は前年比約2000件増の約1万7000件の注文があった。
地域によっては申込日当日や翌日の配送もしてくれる。しかし繁忙期には通常の4~5倍の受注があり、「すぐに配達できない場合もある」(同社)。1週間程度の早めの注文がよさそうだという。
アプリやサイトを活用すれば新生活は効率的に準備できる。ただ使い手には配慮が必要な場合もある。例えばスマートフォン内蔵のカメラをむやみに集合住宅に向けるのは控えたい。住人から住居内を撮影しているなどと誤解を招きかねないためだ。住居に直接向けなくてもエアタグは表示される。利用する際には注意しよう。
(電子報道部 安部大至)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。