チョコや焼き方で多彩な表情 ガトーショコラ

●ちなみに…「チョコレート、価格急騰!?」

33年ぶりの高値を付けたココア。バレンタイン前だけに動向が気になる

フランス語の「gateau au chocolat(ガトー・オ・ショコラ)」を直訳すると、チョコレートのお菓子やチョコレートのケーキという意味になる。チョコを使ったスイーツは多種多様で、今週の3つ星スイーツでも以前(2010年9月9日更新分)取り上げたことがある「オペラ」など、ケーキだけでも色々な種類がある。日本でガトーショコラと言った場合、チョコケーキの中でも、チョコを生地に混ぜ合わせてオーブンで焼き上げる今回紹介したタイプのケーキを指すことが多いようだ。

チョコを使ったケーキでは「オペラ」のほか、伝統的なウィーン菓子の「ザッハトルテ」、アメリカ・シカゴ生まれの「ブラウニー」などが良く知られている。ほかにも「エクレア」など様々なスイーツでチョコが使われており、アイスやクッキーなどでもチョコ味は定番かつ人気のフレーバー。デコレーションやトッピングに用いられることも多く、もちろんチョコそのものとして食べてもおいしく、スイーツを語る上で欠かせない存在だ。

そんなチョコをめぐって、少し気になる動きもある。原料となるココア(カカオ豆)の価格が上がっている。世界的に消費量が増える一方で、生産国では天候不順で供給が減少。さらに投資ファンドによる投機資金の流入が拍車を掛け、ロンドン市場では2010年7月に1トン2700ポンド台となり、33年ぶりの高値を付けた。高騰は一服したとはいえ、現在も高値状態は続いている。

今のところ、チョコ菓子の小売価格の急上昇やチョコ不足には陥っていないが、もしもチョコが高価で希少な食材になってしまったら――。バレンタインも間近に迫ってきたこの時期。スイーツファンやスイーツ業界にとっては何とも気をもむ動きだ。

●記者のひとこと

逸品スイーツVS.手作りスイーツ…。いずれも甲乙つけがたい

先日、自宅にとある荷物が届いた。段ボール箱の中には、木製のめん棒やステンレスの裏ごし器、タルト型やパウンドケーキ型。インターネット通販で妻が購入したようで、しばらくぶりにお菓子作りをやる気になったらしい。3つ星スイーツの担当になってから、家でお菓子の話をすることが増えたので、元料理部(もっぱら幽霊部員だったそうだが)の心に火が付いたのだろうか。

お菓子好きの中には、有名店のスイーツを食べ歩くだけでなく、自分で作ることを楽しみの1つにしている人も多いのではないか。書店にはレシピ本がずらりと並び、有名パティシエが監修したものから、「型」が付録のレシピ本まで、品ぞろえは豊富だ。自分はもっぱら食べるのが専門だが、おいしいスイーツを自宅で作れたら楽しそうだ。

ただ、記者にとって「手作り」のケーキを評価するのは、非常に難しい。3つ星スイーツで食べ比べる商品は、一流のパティシエが丹精込めて作った逸品ばかり。これらと「手作り」とを比べるのは、一流スイーツに対して恐れ多く、また「手作り」にとってはいささか酷だろう。

手作りには手作りの良さがある。とはいえ、どうしても比較してしまいそうだ。昔は妻の手作りケーキを「おいしい」と思って食べていたのだが、これから先は果たして……。自宅に届いたお菓子作りの道具を見ながらそんなことを考え、「昔作ってくれたガトーショコラはおいしかったね」と正直な感想を伝えると、「あれはブラウニーだったけどね」とひと言。どうやらちょっとマイナスからのスタートになってしまったようだ。(綱島雄太)

●「日経スイーツ選定委員会」とは

専門委員と日経記者で構成。専門委員は豊富な経験に基づいた通らしい視点で、記者はビジネスパーソンとしての素直な視点で評価。まず、専門委員の意見を参考に書類に基づく第1次審査を実施し、10商品を候補に選定。次に、厳選された10商品を実際に全員で食べ比べ、専門委員の意見を中心に合議制で「3つ星」「2つ星」「1つ星」を決める。

●専門委員の横顔(五十音順)

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。お菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心としたお菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べるお菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。