黄金の焼き色、とろける食感 ベークドチーズケーキ

●ちなみに――明治初期にも食べていた?

日本では明治初期には既にチーズケーキがあったよう

日本でチーズケーキが一般的に普及し始めたのは約40年前。1969年に洋菓子店「モロゾフ」の社長(当時)が、ドイツで食べた「ケーゼクーヘン」を再現して売り出した「クリームチーズケーキ」が人気を集めたことなどがきっかけになった。70年代には女性誌がチーズケーキ特集を組んでブームとなり、その後はおなじみの洋菓子としてすっかり定着した。

一見すると比較的新しいスイーツのようだが、明治初期の書物には既にチーズケーキに関する記載があるなど、その歴史は意外と古い。さらに日本のチーズの歴史をひもといていくと、飛鳥時代までさかのぼることができる。当時の事柄を記録した「右官史記」には、西暦700年10月に文武天皇が「蘇(そ)」と呼ばれる古代のチーズを作らせたという記述がある。1992年には、業界団体のチーズ普及協議会や日本輸入チーズ普及協会がこの記述をもとに、旧暦の10月を現在の暦の11月に置き換えて、11月11日を「チーズの日」と定めた。

世界に目を向けると、チーズは紀元前4000年ごろには既に作られていたといわれ、チーズケーキは紀元前776年の古代ギリシャで開かれた第1回オリンピックで選手に提供されていたという記録もあるそうだ。

ベークド、レア、スフレ――。チーズケーキといっても製法によって呼び方は異なり、クリームチーズやカマンベールなどチーズの種類によっても味が大きく変わる。さらに最近では、季節のフルーツでアレンジをしたり、ムースやババロアのような食感だったり、スティック状の形だったり。チーズケーキは長い伝統を持ちながらも、常に変化し続けるスイーツだといえる。


●記者のひとこと

チーズケーキと共に思い出す、懐かしい記憶

ショートにチョコ、そしてチーズ。スイーツといってまず自分が思い浮かべるのはこの3種類のケーキ。スイーツを買いに行くと、ショーケースに並ぶ様々な商品に心を奪われて散々迷うのだが、結局この3つのどれかを選んでいることが多い。中でも頻度が高いのがチーズケーキだ。シュークリームやプリンなども好きなのに、どうしてだろうか。

思い当たるのは子どものときに姉2人と3人きょうだいで仲良くケーキを食べている場面。スーパーに買い物に行くと、食品売り場の片隅にある洋菓子店で好きなケーキを買ってもらえることが時々あり、3人でショーケースを前に悩みながら、長姉がショート、次姉がチョコ、私がチーズを選ぶのがいつものパターンだった。1口ずつ交換しながら食べたのが(1口が大きい小さいでけんかもしたが)、懐かしい思い出だ。色々な種類のプチケーキ10個入りセットを買ってじゃんけんで好きな物を選ぶこともあったが、1巡目はいつものパターンで決まり、2巡目のタルトをめぐる戦いからが本当の勝負だった。

こんな体験もあるから、ファーストチョイスはチーズケーキで、たまに気分を変えてショートかチョコ。スイーツ選びのスタンスはこうして形成されたようだ。と、ここまで分析してみて、ふと疑問が浮かんだ。ひょっとして姉は我慢していたのではないか――。

というのも、最近スイーツを買うときは、先に妻に選んでもらい、同じものではおもしろくないので私は違うものを選ぶというケースが多いからだ。妻もチーズケーキ好きなので、私はチョコかショートなどを選ぶことが多くなった。それでも一向に構わないのだが「チーズケーキが良かったなあ」とどこか心の片隅で思うこともある。

これと同じように、末っ子の私に優先的に選ばせてくれたが、本当は姉もチーズケーキが良かったのではないか。大人になってからは、次姉がチョコを食べている姿を見たことがない気がする。長姉はショート、次姉はチョコ、私がチーズというのは、自分のただの思い込みでは。「もしかしてチョコよりチーズがよかった?」と、今度会ったら聞いてみよう。(綱島雄太)


●「日経スイーツ選定委員会」とは

専門委員と日経記者で構成。専門委員は豊富な経験に基づいた通らしい視点で、記者はビジネスパーソンとしての素直な視点で評価。まず、専門委員の意見を参考に書類に基づく第1次審査を実施し、10商品を候補に選定。次に、厳選された10商品を実際に全員で食べ比べ、専門委員の意見を中心に合議制で「3つ星」「2つ星」「1つ星」を決める。

●専門委員の横顔(五十音順)

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。お菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心としたお菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べるお菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。

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