サイト交流、激励メール…禁煙、楽しんで成功
1000万円のためなら
東京都の会社員、徳島久輝さん(37)は今回の値上げを機に禁煙を始めた。きっかけは総合情報サイト「オールアバウト」にあった「禁煙すれば1000万円貯(た)められる?」という特集記事。現在の年齢と将来の喫煙年数から今、禁煙すればいくら貯金できるかが分かる計算式があったので、試してみたという。1日1箱のペースで吸ってきた徳島さんの場合、今後かかるたばこ代総額は336万円。それを投資信託などで運用すれば、1000万円近くになるという。徳島さんは、即座に禁煙を誓った。
同じ「オールアバウト」の「タバコ・禁煙」のページで、ニコチンを含まない飲むタイプの禁煙薬があることを知り、早速禁煙外来へ。今は飲み薬を1日2回ずつ服用しながら禁煙を続けている。「朝起きたときの気分が爽快(そうかい)。食事もおいしくなった」と喜ぶ。
過去に何度も禁煙に挫折した苦い経験のある人にお勧めのサイトもある。ジョンソン・エンド・ジョンソンの「ハッピーに禁煙ツアー」。サイト上でお気に入りの女性ガイドと一緒に禁煙に取り組む趣向だ。
会員登録すると開設されるマイページのカレンダーに禁煙できれば「○」、一本でも吸ったら「×」と毎日書き込んでいくだけ。結果に応じて、ガイドから激励のメールが届く。ガイドは5人おり、好みのタイプを選べる。
千葉県に住む会社員、南康弘さん(31)は2週間前から同サイトを利用。当初は「×」と書き込む日が続いたが、「たばこを吸わない男の人って、周りの人にも気を使っている感じがして魅力的」というメールが届いてから意識が変わったという。「見ていてくれる人がいると、頑張らなければという気になる」(南さん)
禁煙ツアーは30日間の期間限定。現在は男性中心に約5400人が会員登録している。トップページにある掲示板を使うと、禁煙仲間と交流することもできる。利用者の励みにもなっているようだ。
製薬会社が情報
ほかにも製薬会社が運営する禁煙支援サイトは多い。ノバルティスファーマの「いい禁煙」は、禁煙補助薬の購入や禁煙外来への通院について、詳しい解説を掲載している。ニコチン依存症のチェックをしたり、喫煙による肺の変化の様子を紹介するコーナーも。ファイザーの「すぐ禁煙.jp」も禁煙のコツやメリット、豆知識などを紹介。喫煙が家族に及ぼす健康被害などの情報も提供している。
このほか、日本禁煙学会のサイトも禁煙に関連した情報を網羅。コンテンツはたばこに関する番組紹介など幅広い。ミニブログ「ツイッター」で禁煙仲間同士がつぶやきあえる仕組みも用意。「何度も衝動に駆られたけど、今日は我慢できたよ」といったやりとりが続いている。
値上げの負担に加え、周囲の人の受動喫煙の問題などから、愛煙家の居場所が日に日に狭くなっているのも確か。健康のためには禁煙は「いつ始めても、遅すぎることはない」ともいわれる。今は禁煙する気持ちがない人も、一度サイトをのぞいてみてはいかが。あなたにあった禁煙の方法が見つかるかもしれない。(消費産業部 西堀正俊)
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