会話の好感度は声で決まる 理想の発音「あくび」から
ビジネスシーンでの会話は聞き違いがトラブルにつながりかねない PIXTA
あなたは会話をしているときの自分の声の響きや発音に、注意を払っていますか? 相手の会話が聞き取りにくく、何を伝えようとしているのか分からず、困った経験はあっても、自分の発言がきちんと伝わっていないとはあまり考えないものです。
あなたの会話の意図が分からず不明瞭であっても、ビジネスの成否や利害関係にかかわることでもない限り、相手から「今、何とおっしゃいましたか?」「それは、●●という意味ですよね」とは、問い正してこないものです。そうした質問は「あなたの話は聞きづらい」「伝わっていないですよ」と言っているのも同じことであり、言い回しがソフトであっても、「発言の真意」を聞くのは、勇気がいるからです。
それは、方言にもいえることです。あなたにも覚えがありませんか? 普段は標準語で話す人が会話に熱中してくると「お国なまり」が出て、意味が分かりにくくなるといったことが。「きっと●●という意味なのだろう」「標準語の●●と同じような響きだから」と聞き流していると、実は意味が違っていたというようなことはしばしば起こりえます。
以前、お得意様のオフィスにお邪魔したときのことです。「それは消費期限が切れているから、投げてくれ」という経営者の発言が耳に入ってきました。「投げるって?」。私は「消費期限が切れているとはいっても、自社の商品を投げるなんてずいぶん乱暴な扱いをする会社だ」と思いました。「商品に愛情がないのかしら?」とも疑いました。
すると、発言を受けた社員は「分かりました。ではいつもの業者に頼みます」。そう応えたのです。「業者に頼んで投げる?」。ますます意味不明です。
実は「投げる」とは、「捨てる」の意味で、北海道や東北ではそう表現することが珍しくないとうかがいました。発言の主も北海道の出身です。社員さんは慣れたもので、その意味を理解して指示通りに動いたというわけです。