夕食の天ぷらが翌朝の味噌汁に入る「愛三岐」 長野も
マヨネーズ(4)
ある雑誌で四角に切った豆腐をシャリに見立て、その上に魚やイカや貝、漬物をのせた「豆腐寿司」の写真を見て「こんな手があったか。ヘルシーで美味そう」と思った。そして日曜日の晩飯に作ってみたのである。確かにヘルシーであった。だが、それだけのことで刺し身と冷ややっこを一緒に口に入れているのと変わるところがない。しかも手間と金がかかった割りには受けなかったのだった。
あれが予兆だったのだろうか。
今週はいきなり本題。と思ったが、こんなメールを読めば脇道に突入。
かき揚げを味噌汁に入れるか?→入れる!!!
というか、岐阜の実家では晩ご飯で天ぷらが出るとその翌日の味噌汁(当然赤味噌)に、個々で好みの天ぷらを入れて食べるのです。だからかき揚げにかかわらずイモ天、カボチャ天など天ぷらなら何でも可です。これで冷えた天ぷらもあったまって、前日とは違う味を楽しめるので、私は結構お勧めします。
ところが……最近友達と学食でご飯を食べようと並んでいたときに天ぷらを見かけたので、ふと友達にその食べ方を話してみたら「それはないよ!」の一言。そこで私は「たぶん我が家独特の食べ方だったのかな」と思っていたのですが、やはりそれは食の方言だったのですね!(岐阜出身どら@東京22歳さん)
前回に引き続き、ここまで証言が集まると重大な疑惑が浮上してきたと見なければなるまい。すなわち、愛知、岐阜、ひょっとして三重も含めた愛三岐トリオでは赤出しの味噌汁に天ぷらを投入する人々がいる、いや相当いる、ではなく当然のこととされているのではないかという疑惑である。該当地域にお住まいの皆さん、いかがですか? 本題とは別にVOTEしちゃおうかな。
このサイトをやっていると私なぞが想像もできない食べ物や食べ方がひょこひょこ出てきて本当に面白い。勉強になる。ネタの宝庫。
デスクうなずいて たとえどんな斬新と思える食の方言も「愛三岐ならありかな」と思えるようになりました。
それにつけても「赤出しに天ぷら」問題はぜひ、東海ラジオで取り上げていただきたいものである。
さあ、本題。
韓国に遊びに行ったとき、韓国人の友達が出してくれたおつまみ、あぶったするめをコチュジャンマヨネーズで。コチュジャンマヨネーズ、美味しいです。以来うちでは定番。
スルメでも野菜でも。
マヨネーズをかけて食べているのをみて一番驚いたのは、カレーライスにマヨネーズでした。当時彼は高校生。あの超マヨラー少年は元気だろうか(マヨラーの夫と戦っている颱風4号さん)
韓国でもするめにはマヨだったか。知らなかった。日本ではマヨ七味が多いが、お隣では七味の代わりをコチュジャンが務めている。
カレーライスにマヨ。マヨネーズラーメンとのセットってのはどう? 死ぬ?
デスク苦渋の表情 西東京にあるマヨネーズ料理専門店に行ってきました。意外とマヨマヨしていないメニューでちょっと期待はずれ(内心ホッ)だったのですが、最後に出てきた薩摩揚げにマヨネーズのっけてあぶったひと皿には、激しい「ミスマッチ感」を覚えました。カレーにマヨかぁ、うーん……。ちなみに、奇特にもマヨづくしに同行してくれた女性からは「しばらくはマヨネーズはいっかなぁ」というメールが届きました。あぁ、嫌われちゃったかなぁ?!
ちなみに、with鉄板にこびりついたイカのおこげは別名「ガンの素」と呼んでいます。意外と塩辛くて酒の肴になります。食べ過ぎたら本当にガンになってしまうかも(明渡@奈良県さん)
鉄板焼きのイカにもマヨならこれもマヨ。
そう、シシャモに寄り添うマヨの存在については私も気がついていた。うちの娘が気がつかないことを祈るばかりである。
マヨにはメーカーによって違いがある。
テクスチャーの違いはキューピーは卵黄だけ、「素の味」は全卵だからでしょ?(arayebisさん)
以前、マヨの取材をしたときのメモを読み返していたら、面白いことが書いてあった。「業務用マヨの場合、西日本は酸味が強く、東日本は弱い」。すっかり忘れていた。マヨは日本と欧米で味が違い、国内でもメーカーによって違い、地域によっても違うということになる。
さて、ここまで4回にわたってマヨを語ってきた。こんな声が出てもおかしくはない。
名神高速道路の多賀サービスエリアで、「じゃがべー」を購入したら、いい加減冷めた「じゃがべー」にマヨの小袋を渡されて、「じゃがべーには普通ケチャップだろーっ!」つって、罪もないオバチャンにマヨをたたき返した我々チンピラ2人組。
元来、大人気ないことこの上ない「オレたち界隈」であるが、通常「世を呪う」ことで、命を繋いでいるようなものなので、憎むべき対象と対峙した場合、そこからは恐ろしいほどのエネルギーが放射される。同時に、自らも消耗していく……。
怪獣ブースカがそのまま成長したようなオレのダンナは、先週このサイト見た次の日、酔っ払って帰ってきて、熱心に読書をしているので何ごとかと思ったら、『日本全国マヨネーズ中毒』(伏木享著 講談社)という書籍を読みふけっていた。そして、非常に満足げにうなずいていた。とりあえず、怖い。
故に、今回のネタはこれにてフェードアウトさせていただく。残念!
ムリ……マヨだけは。あまりのキモさに2人して「芸術は爆発だっ!」と叫びそうなので、だれか助けてほしい。切腹!(西荻の怒髪天娘さん)
わからんでもない。が、同時にサービスエリアのオバチャンには同情を禁じえない。
VOTEを始める。その前にこのメールを。
少ないほうでは(1)那覇(2)盛岡(3)新潟(4)富山といった感じです。
一方、マヨネーズだけの消費量を推定した別のデータソースを見てみました。正確を期すために地方別レベルでとどめますが、このデータで見ると全国平均100としたときに、上位には(1)九州108(2)中国107(3)北海道・北陸104(5)京阪神103(6)東海101とここまでが平均より上。
(7)四国97(8)関東(新潟・長野・北関東)95(9)京浜92が平均より下でした。大きな特徴は京浜・関東はマヨネーズ消費量が少ないグループに位置することです。
また、データの精度がやや落ちるため参考程度ですが、都道府県別で見ると(沖縄除く)、上位の顔ぶれは(1)島根(2)新潟(3)福島(4)鹿児島(5)福井(6)広島(7)北海道(8)長野といった感じで、何となく家計調査と似たような傾向もうかがえます。
下位の顔ぶれは(1)富山(2)山口(3)宮城(4)大阪(5)埼玉です。
思いっきり仮説を飛ばすと、マヨネーズもドレッシングもよく使うところと、マヨネーズ特化型のところ(新潟、広島あたり)、どっちも使わないところ(富山?)がありそうです(ミルフォードさん)
という内容を踏まえてVOTE開始。テーマは「マヨラーはどこにいる?」。自分のマヨラー度、反マヨ度をお答えいただきたい。
もうひとつはマヨと関係ないけど、味噌汁に天ぷらを入れる地域調査。本当に愛知や岐阜で高い数字が出るのだろうか。
そのマヨネーズのVOTE結果(速報値)。マヨラーはどこにいる? 味噌汁に天ぷらを入れるのはどこ? である。
各地のマヨ度を測るため「大好き」という回答を+2、「かなり好き」を+1、「普通」をゼロ、「あんまり」を-1、「嫌いな方」を-2として指数化した。その結果、マヨ度が高かったのは長野、栃木、佐賀、鳥取、滋賀、埼玉、広島、京都、山形……の順。逆に低い方から大分、島根、和歌山、富山、静岡、宮崎、長崎、岩手、東京、鹿児島……。
と書いていて気づいたのだが、佐賀を除く九州・沖縄の各県がそろって平均以下。むしろ低い方に位置している。九州はマヨラーが少ないのかもしれない。
「大好き」の比率が最も高かったのは栃木。何と26%に達した。栃木はマヨ県?
さて、ひょっとして本題よりも盛り上がった「味噌汁に天ぷら」はどうか。「はい(入れる)」という回答が過半数を占めたのは愛知(57%)、長野(55%)、三重(53%)であった。愛三岐ではなく愛長三である。だが、安心していただきたい。岐阜はちゃんと47%で4位につけている。次いで山梨が41%で5着。おお、上位5県はずっと地続きである。
ところが6位に突然、九州代表の佐賀(40%)が出現した。佐賀はマヨでもそうだったが、九州の中で独自の行動に走る傾向があるみたい。
「はい」がゼロ、つまり「味噌汁に天ぷらなんてとんでもない」というところは鳥取、島根、沖縄の3県。そして「はい」が少ない方から順に奈良、福井、山形、長崎、北海道、高知、新潟……。東京は8人に1人が「はい」と答えた。
デスクびっくり えっ、本当? 僕のまわりにはひとりもいないよ。
マヨ地図はともかく、味噌汁に天ぷらはかなりはっきりした色分けになりそうである。予想外の成果であった。おめでとう。
そして次回からのテーマは「干物」。アジやサバなんかの干物。どうしていまこれをやるかですか? 別に理由はないんです。毎朝食べてるからかな? 皆さんはどのくらい食べてますか? シシャモにマヨつけてますか? ってマヨは終わり。干物に関するメールを待っている。
いま、私はめちゃくちゃ元気がない。風邪のせいではなくて、人間をやっていると、つらいこと良くないことが集中しておきる時期があるが、私にとっていまがそれ。あるプロジェクトに落とし穴があることが発覚して頓挫の危機。別のプロジェクトがサドンデス。
日曜に作った豆腐寿司が不人気だったのが、やはり予兆だったのか。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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