フィギュアスケート熱 女と男では大きな差
代表コーチ、我が家にも
フィギュアスケートに熱中する女性は多い。妻も好例で、冬の間は夫婦の話題がフィギュア一色となり、毎年げんなりさせられる。野球やサッカーなどと違い、採点競技のフィギュアは素人には分かりにくい。勝った負けたと言われてもしっくりこないし、スカートをヒラヒラさせて演技する女子選手をまじまじ見るのも何か気恥ずかしい。
席を立とうか気をもんでいると、テレビ画面に映る日本人選手が3回転ジャンプをした。「あー、軸がぶれた。減点がどれくらい響くかしら」。厳しいまなざしで画面を見つめる妻はさながら日本代表チームのコーチのようだ。ソチ五輪後は選手の世代交代が進んだらしく「真央ちゃんみたいに育ってくれたら」とチームの行く末を案じている。
今後心配なのは、幼稚園に入る前の我が息子だ。妻がスケートを習わせたいと言い出す前に、サッカーボールでも買い与えておこうか。
汗より「ひらひら」
フィギュアスケートのチケット代は高い。有名選手が登場する競技会やアイスショーでリンク際のシートは2万円を超える例も多い。それでもさいたまスーパーアリーナといった大会場は女たちで満杯だ。値段が値段だから、中高年層が多くなるのはやむをえまい。母娘連れ、飛行機や新幹線で遠征してくる「おひとりさま」もいる。投げ入れ用の花束に万単位のお金を惜しまず、演技のたびにスタンディングオベーション……。スポーツ会場というよりステージのような華やかさだ。
選手が高難度の技術をどれだけ美しく優雅に舞って見せてくれるのかに胸ときめかせ、2分50秒なり4分30秒なりを息を凝らして見つめる。やっぱり女たちは本能的に「ひらひら」が好きなのか。ぶつかり系の汗臭いスポーツより、華やかで芸術的なスポーツに心引かれるのだ。
女たちの視線には「母親感覚」も宿る。試合では体の小さいジュニア選手も登場する。「これは」と思う選手に自然と目をかけるようになり、頭角を現したときは「私が育てた」的な自負心も芽生えよう。旬なところでは宇野昌磨くんがそんな存在。この心理、ひいきがトップスターに育ったときの宝塚ファンに通じるものがあるかもね。
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