満月ポン、山親爺、フライみみ 全国のご当地せんべい
せんべい(4)
前回、硬いせんべいを愛好する地帯と、軟らかいのじゃないとだめという地帯が存在するとしたら、非常に面白いとお話しをした。前回は西日本の物件が登場したが、東日本はどうだろう。
北海道に飛ぶ。
「でてきた、でてきた山親爺 笹の葉かついで鮭しょって スキーをはいた山親爺」
というCMソングは子どものころから変わりません。道民の8割は歌えると思います。
製法は昭和5年の発売当時から変わっていないというロングセラーです(札幌生まれ札幌育ち道産子3代目 雪あかりさん)
という風に、北海道ではこの洋風せんべいが愛されているようである。硬くない? 大丈夫?
和歌山で食べていたひなあられは、当たり前のように小さいおかきタイプの、歯ごたえのしっかりしたものでしたから、このサクサクふじゃふじゃの根性ナシのひなあられにはどうしてもなじめず、実家の母に好物の「ひなあられ」(○よすさんの製品です)を送ってもらったりしてたもんです(ちろこ@札幌さん)
随分以前のことだが、同人から「おひな様のあられの違い」についてご意見をいただいていた。そのことを論じる機会が訪れたようである。せんべいとあられは違う? 似たようなものじゃん。違ってもいいじゃん。
ひなあられなんて昔すぎて覚えていない? 男だからちまきの話ならできるけど?
オランダせんべい、特に山形県の酒田米菓から出ているそれについて「山本リンダさんがCMに出ていた」とのメールが鮭さんと電脳文化桃さんから。
こんなせんべいも。
想像できないと困るので、どんな食べ物かというと、ゴマせんべい2枚で水あめを挟んだ簡単な食べ物です。最近ではスーパーなどでも買えるようになりました(青森のお祭り女さん)
この場合のせんべいは南部せんべいであろう。
私のあめせんべいは、子供のころの紙芝居の記憶とともにある。水あめを割り箸2本でぐるぐる回し空気をいれて白濁させる。その白さを競って勝つと、おじさんがしょうゆ味のまん丸サクサクせんべいをくれた。そのせんべいに白濁水あめを塗って食べたものである。
多田さんの母堂は八戸出身とか。あめせんべいは南部せんべいの食べ方としてはポピュラーらしい。だってスーパーにも売ってるくらいだし。
南部せんべいといえば「みみ」。
さて、これは一見大したことがなさそうだが、味わってみるとなかなかの実力があるという例えであろうかね。違いましょうか。
せんべいのみみといえばベティー隊員が黙ってはいまい。
ベティー隊員 待ってました、せんべいのみみ! 八戸駅に直結しているユートリーという建物の1階に、私のお気に入りのインストアせんべい屋さんがあります。ここの焼き立てのせんべいのみみがたまりません。もちもちして、かむのに相当あごの力を要します。あとは市内の小売店で見かける「フライみみ」。みみを揚げたもので、こちらはカリカリ系、これもいけますよ。
満月ポン目撃情報。
今は家の近くの南越谷のカスミでいつでも手に入れられます。土地柄から周りは草加せんべい一色ですが、しょうゆ味が強すぎずかむときに力がいらないこのせんべいは究極の癒し系せんべいで私も好きです。たぶん関西であれば今でもどこででも手に入るのではないでしょうか。奥さんの実家の近くの道明寺サンプラザにはいつでもあります(小野さん)
満月ポン、満月せんべい、ぽんせん。同じ物のようである。これなら私も好きである。ビールにも合うんだぞー。
あめせんべいで登場した多田さんのメールの中にもうひとつの論点があった。
もうひとつは、わざとうんと湿気させて、軟らかくした柴舟が大好きな人です。「しけた柴舟が好き」という人が身の回りに何人かいます。
うちの叔母はご飯を蒸らすときに、ちょっと柴舟を入れて蒸気で硬い生地を軟らかくしてしまいます。なぜか柴舟マニアにはこういう人たちがいます。叔母も以前は湿気てない柴舟を、時間をおいて湿気させて食べてたのですが、ある時からこの「ご飯の蒸気を利用する画期的な技法」を導入するようになりました。柴舟って湿気ると、ものすごく歯にくっつくんだけどなあ。(多田伊織さん)
ヘンですかと聞かれればヘンですとは言えないのが人情である。
それにしても柴舟を熱々の炊飯器にぶち込んで強制的にフニャフニャ化するというのは画期的である。どうしてそんなこと思いついたんだろ。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
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