せんべいにも硬派と軟派 パリパリかフニャフニャか
せんべい(3)
前回、訓練ではないと書いたらおびただしい実戦メールが来着した。読むだけでも大変、という量である。しかも「初めまして」という書き出しのものが多い。今回は紹介メールを選ぶのが大変だ。
まずは私の敵と味方から。
これを職場でいただくと、年寄りたちは細かく砕いて、なめて溶かし食べます。普通の人はハンマーで砕いて「硬いなー硬いなー」と言いながら食べてます…歯に自信のある私は、いつもまるっぽをバリバリと食べて優越感にひたってました。皆が「ひえー」と言って驚く顔が楽しみでした(京都在住 仁円さん)
まあるいおせんべいを置いて木のとんかちで「エイッ」と割って食べるのは、なかなか楽しい作業でした。また食べたいな♪まだ手に入るのかな?(おむすびしるこさん)
なぜこのように命を危険にさらしてまで硬いものを食べなければいけないのだろうか。製造元の親戚に歯科医がたくさんいるに違いない。
どこがカステラやねん! 木槌といいのこぎりといい…本当にもう。
ベティー隊員 野瀬さん、治療で歯を抜かなければと言ってたけど、こういうせんべいを食べたら麻酔なしで簡単に抜けちゃうかも。
なお、「赤い殺意」について、いくつかご注意申し上げます。
1.真ん中の赤いものを「えび」といつわって善意の第三者に提供するのは犯罪です。
2.湿気たからといって、火であぶったり電子レンジで加熱したりすると、刺激性の有毒ガスが発生してとても危険です。絶対にやめましょう。
3.子供や野瀬さんが誤って飲み込まないように、それらの人々の手の届かないところで保管してください。
以上の注意点を守って楽しくお召し上がり下さい(池魚@盛岡さん)
デスク、悪いけど警察呼んで。有毒ガスだし。
デスク笑顔で はいな。辛い物を不当に嫌う野瀬さんを逮捕してもらいましょう。
野瀬補足 辛いのが嫌いなおまわりさんを呼んで。
しかも、割れ目がとげとげしていて、食べると上あごが全治1週間の裂傷にさいなまれたものです。それでもお腹が空いてたまらない年ごろで、1袋2、30枚をぺろりと食べていました。あのせんべいは、いまも売られているのでしょうか(よだれを流している香港の防人さん)
デスク、救急車も呼んで。脱水症状に裂傷みたいよ。
軟らかいせんべいは巣鴨のとげぬき地蔵や銚子の方にいるとばかり思っていたが、意外なことに愛知に団体でいた。
愛知県碧南市、一色町近辺には柔らかいエビせんべいを製造している店が数軒あります(粕取り焼酎愛好家さん)
「この地域の人々にとって、本当にせんべいは硬すぎて歯を悪くする食べ物なのかどうか」は残された謎のままですが、愛知県にはフニャフニャした非常に軟らかいせんべいが存在することだけは確認できた次第でございます(西荻の怒髪天娘さん)
だから名古屋は好き。愛知県が好き。
これでもっと好きになった。
「生えびせんべい」というのがあります。生の大きなえびに薄く粉(衣?)をまぶして熱した鉄板で上下からプレスして伸ばして加熱します。見た目は平らなえび天みたいな、ほとんどえびフライかえび天味ででんぷんよりえびの方が成分比率が高いのではないか…という代物もございます(今は岐阜県民の土乃児さん)
それはせんべいではなく焼きえびではないのか。
ともかく硬いせんべいを愛好する地帯と、軟らかいのじゃないとだめという地帯が存在するとしたら、非常に面白いと思う。いまのところ硬派、軟派ともに西日本の物件。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
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