私にぴったりはどれ? タイプ別オススメ格安SIM
いまさら聞けない格安SIM入門2017(中編)
利用者が増えている格安SIMだが、サービスを提供する会社もさまざまだ。2016年12月に総務省が公表した統計資料によれば、格安SIMを提供する通信会社は2016年9月末時点で611社にも上る。年々増え続ける格安SIMのなかから、自分に合ったものを選ぶのは難しい。格安SIMの基礎知識を解説する特集第2回は、用途別におすすめの格安SIMを紹介しよう。[格安SIMのメリットを解説した前編「いまさらですが、格安SIMのメリットって何ですか?」はコチラ]
選択肢が多い格安SIMは選ぶのが大変
大手キャリアよりもスマートフォン(スマホ)の通信料金が安いことから注目を集める格安SIM。知名度が上がり利用者が増えるにつれて、格安SIMどうしの競争も激しさを増す一方だ。魅力的なサービスを提供して利用者を獲得するために、格安SIMではさまざまな料金プランやオプションサービスが提供されている。
前回紹介したように、通信容量が使い放題だったり、通信した量に応じて月額料金が変わったりする料金プランが存在するなど、格安SIMでは大手キャリアよりもサービスのバリエーションが豊富だ。ただ、利用者にとっては選択肢が多くて喜ばしい半面、どの格安SIMを選ぶべきなのか、悩んでいる人も多いのではないだろうか。
そこで今回は、「大手キャリアからの乗り換えを考えている人」「スマホでSNSや動画を楽しみたい人」「ネットからゲームまで通信することが多い人」「スマホの料金を手軽に節約した人」の4パターンについて、おすすめの格安SIMをピックアップしてみた。
大手キャリアから乗り換えるなら…楽天の「楽天モバイル」
格安SIMの弱点である「通話料」や「実店舗」といった問題を解決するサービスを用意し、初心者にも優しいプランを提供している楽天の「楽天モバイル」は、大手キャリアからの乗り換えを考えている人全般におすすめの格安SIMだ。
楽天モバイルの料金プランは、通信容量別に毎月3.1ギガバイト(音声通話SIMの月額料金1728円。税込み、以下同)から毎月30ギガバイト(同6642円)までの5種類と、通信速度は低速ながらも使い放題(同1350円)の料金プラン1種類の合計6種類を提供する。
第1の特徴は、通話定額オプションを用意しているところ。大手キャリアでは通話定額プランが標準となっているのに対し、格安SIMの通話料は30秒当たり21.6円の従量制が一般的で、一つのデメリットとなっている。
楽天モバイルでは各通話最初の5分間が無料になる通話定額オプションを月額918円で提供している。このオプションを使えば、5分を超えた分の通話料も通常の半額となる30秒当たり10.8円になる。通話発信が多い人でも、このオプションを契約することで毎月のコストを抑えられる。
第2の特徴は、実店舗を多く構えていること。格安SIMでは店舗を構えずにウェブサイト経由で契約やサポートを提供するのが一般的だが、楽天モバイルでは専門店やカフェ併設のカウンターなどを全国に100カ所以上展開している。大手キャリアのショップと同様、楽天モバイルではスタッフと相談しながら契約内容を決められる。
第3の特徴は、5分間の通話定額オプションとSIMフリースマホの分割代金がセットになった「コミコミプラン」を提供しているところ。コミコミプランの通信容量は毎月2ギガバイトと4ギガバイトの2種類のみで、選べるスマホも9機種に限定されているものの、毎月の予算や気に入ったスマホを基準にプランを選べることから、楽天モバイルのショップ来店者を中心に好評だ。プラン選びに悩んだら、コミコミプランを選択するのも良いだろう。[参考記事「全部コミコミ 格安SIMおまかせプランが人気のワケ」]
SNSや動画を思う存分楽しみたいなら…「LINEモバイル」&「BIGLOBE SIM」
2016年の後半には、特定のアプリによる通信をカウントせず、無料で通信できる「カウントフリー」と呼ばれる機能を提供する格安SIMが増えてきた。[参考記事「特定の動画・音楽視聴が安く 格安SIMの新トレンド」]
カウントフリー機能がある格安SIMでは、対象アプリをどれだけ利用しても料金プランの通信容量を消費しないため、結果として他のアプリで使える容量が増える。また、より少ない通信容量のプランに切り替えることで、通信コストを節約することも可能だ。
メッセージングアプリの「LINE」やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をひんぱんに利用する人におすすめなのが、LINE自身が提供する格安SIMの「LINEモバイル」だ。通信容量別に毎月1ギガバイト(音声通話SIMの月額料金1296円)から10ギガバイト(同3801円、MUSIC+プランの場合)まで、5種類の料金プランを提供する。
LINEモバイルの特徴は、すべてのプランでLINEアプリを利用した際の通信が無料になるところ。毎月3ギガバイト以上のプランでは、LINEに加えて「Twitter」「Facebook」「Instagram」といったSNSや、音楽配信サービス「LINE MUSIC」による通信も無料だ(LINE MUSICが無料になるのは「MUSIC+プラン」契約時のみ)。
また、ネット動画をよく見る人には、BIGLOBEの格安SIM「BIGLOBE SIM」をおすすめしたい。BIGLOBE SIMでは通信容量別に4種類の料金プランを提供するが、このうち毎月6ギガバイト(音声通話SIMの月額料金2322円)と12ギガバイト(同3672円)のプランで、カウントフリー機能を追加する「エンタメフリー・オプション」(音声通話SIMのオプション料金は月額518円)が契約できる。
このエンタメフリー・オプションでは、動画共有サービスの「YouTube」、インターネットTVの「AbemaTV」、音楽配信サービスの「Google Play Music」「Apple Music」を利用するときの通信が無料になる。YouTubeの動画を1時間視聴した場合の通信量は1ギガバイトを超えることもあるため、エンタメフリー・オプションによる通信容量の節約効果は大きい。
スマホで通信することが多ければ…DTIの「DTI SIM」
前述した「カウントフリー」の対象になっていない「Hulu」「Amazonプライムビデオ」といった映像配信サービスをよく利用したり、データの読み込み時に通信が発生するオンラインゲームを長時間楽しんだりすることが多く、毎月の通信量が多くなりがちな人におすすめなのが、インターネットプロバイダーの老舗DTIが提供する「DTI SIM」だ。
DTI SIMでは、使い放題プランの「ネットつかい放題」(音声通話SIMの月額料金3132円)と、毎月10ギガバイト(同3024円)・15ギガバイト(同4644円)・20ギガバイト(同5994円)の大容量プラン3種類を提供している。使い放題プランのみ、あるいは大容量プランのみを提供する格安SIMは他にもあるが、DTI SIMでは両方とも提供しているのが特徴だ。
コスト面では何ギガバイト使っても定額の使い放題プランの方がお得だが、固定回線代わりとしても利用される使い放題プランでは通信が集中しやすく、午後0時台や夕方の混雑時に通信速度が遅くなりやすい。また、毎月10ギガバイトのプランは使い放題プランよりも月額料金が108円だけ安い。
まずは使い放題プランを契約した上で、通信速度に不満がなければ継続して使い続けるといいだろう。もし使ってみて月の通信量が10ギガバイトに満たなかった場合や、コストをかけてでも一定の通信速度を確保したいと感じた場合は、利用状況に見合った容量の大容量プランを選択するのがいいだろう。[参考記事「月1万円超でも『格安SIM』 動画見放題に照準の新潮流」]
手間なく節約するなら…FREETELの「FREETEL SIM」
大手キャリアより通信料金が安いといっても、通信容量が不必要に多い料金プランを契約するのはもったいない。通信料金節約のカギは、自分が毎月何ギガバイト通信するのか把握して、最適な料金プランを選ぶことだ。
だが、通信会社のマイページで容量をチェックするには手間がかかるし、旅行や出張といったイベントがあると通信量が一時的に増えるため、通信容量が月ごとに大きくバラつく人もいるだろう。
手間をかけず簡単に通信コストを節約するなら、FREETELの格安SIM「FREETEL SIM」がおすすめだ。FREETEL SIMでは実際に利用した通信容量に応じて毎月料金が変わる「使った分だけ安心プラン」を提供している。
使った分だけ安心プランは、毎月100メガバイトから20ギガバイトまで、通信容量に応じて8段階で月額料金が変化する、多段階タイプの料金プランだ。一般的な月次タイプの料金プランとは違い、毎月自動的に料金が決まるため、自分でプランを変更しなくていいのが特徴だ。
例えば、音声通話SIMで2.5ギガバイト使った月の料金は3ギガバイトまでの1728円、6.2ギガバイト使った場合は8ギガバイトまでの3067円が適用される。ほとんど使わなかった月は1078円で済むため、節約効果が大きい。
ただし、毎月20ギガバイトまでは制限なく通信できてしまうため、上限まで通信すると月額料金が6015円になってしまう。節約の手間はかからないが、使いすぎには注意したい。
次回の記事では、大手キャリアからの乗り換え術を紹介したい。
(ライター 松村武宏)
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