「予約」「予定」は大違い Win10キャンセルの勘所
Windows 7/8.1からWindows 10への無償アップグレードを促す「Windows 10を入手する」アプリ(Get Windows 10アプリ)だが、2016年7月1日前後から画面の内容が変化した。
これまでは「今すぐアップグレード」か「今夜アップグレード」のボタンしかなく、アップグレードをしないようにするための選択ができなかった。これが、新しい画面では「無償アップグレードを辞退する」という項目が追加され、ここからアップグレードを辞退できるようになった(図1)。辞退すると、アップグレードに関する通知は表示されなくなる(図2)。これは大きな変化だ。
Windows 10への無償アップグレード期限は16年7月29日までで、残り3週間もない。この土壇場で画面の内容が変更されたのは、アップグレードへの誘導方法に対する批判が多かったからと考えられる。
ここでは、新しくなった「Windows 10を入手する」アプリの操作方法、特にWindows 10へのアップグレードを予約しているかどうかを確認する方法と、予約している場合のキャンセル方法を紹介する。アップグレードを予約していると、望んでいないのにいつの間にかアップグレードが進んでしまうことがある。アップグレードすべきかどうかは人によるが、アップグレードする場合でも、いつアップグレードするかは自分で決めたいものだ。
アップグレードの「予約」取り消しと「予定」の取り消しは違う
「Windows 10を入手する」アプリを起動して最初に表示される画面の内容は変わったが、その他の部分はあまり変わっていない。
注意が必要なのは、アップグレードの「予約」の取り消しと、アップグレードの「予定」の取り消しは違うということだ。予定を取り消しても、予約が残っていれば、アップグレードの実行を求めてくる。ここが相変わらず紛らわしく分かりにくい。まずは予約の有無を確認することが重要だ。なお、本記事ではWindows 8.1で説明しているが、Windows 7でも操作は同様だ。
Windows 10へのアップグレードが予約されているか確認するには、「Windows 10を入手する」アプリのアイコンをクリックして起動する(図4-1)。アイコンは隠れている場合もあるので、見つからない場合はタスクバーの「△」をクリックして探す(図4-2)。
「Windows 10を入手する」が起動したら、左上にある三本線の「三」のアイコンをクリックする(図5)。
左側にメニューが表示される(図6)。下から2番目の項目が「PCのチェック」になっていれば、アップグレードは予約されていない状態。「確認の表示」になっているなら予約されている状態だ。
アップグレードの「予約」を取り消すには
アップグレードするつもりがないのにアップグレードが予約されている場合は、これを取り消す必要がある。
前述のように、図6でメニューの下から2番目の項目が「確認の表示」になっていたら、アップグレードが予約されている状態だ。アップグレードをキャンセルする場合は、まず「確認の表示」をクリックする(図9)。
「アップグレードを予約しました」と表示される(図10)。予約をキャンセルするには、左下に小さく書かれている「予約の取り消し」をクリックする。ここで「×」や「閉じる」をクリックしても予約はキャンセルされないので注意する。
本当に取り消していいのかと聞いてくるが、ここでさらに「予約の取り消し」をクリックする(図11)。
「予約を取り消しました」という表示が出れば、予約は取り消し(キャンセル)できている(図12)。これで「閉じる」や「×」をクリックして終了しても大丈夫だ。念のために、もう一度最初の手順に戻って「Windows 10を入手する」を開き、メニュー内の表示が「PCのチェック」になっていることを確認しておこう。
「次の予定でWindows 10にアップグレードされます。」と表示されたら
「Windows 10を入手する」アプリを起動して「次の予定でWindows 10にアップグレードされます。」と出た場合はアップグレードのスケジュールが既に設定されている状態。アップグレードを望まないなら、取り消しておこう。
「Windows 10を入手する」アプリを起動してこの表示が出たときは、「予定の変更」をクリックする(図13)。
「時刻を選択します~」と表示されるので、「アップグレードの予定を取り消す」をクリックする(図14)。
「取り消してもよろしいですか?~」と表示されるので、「アップグレードの予定を取り消す」をクリックする(図15)。するとウインドウが自動的に閉じる。
ここでウインドウは自動的に閉じるが、だまされてはいけない。これはアップグレードの「予定」を取り消しただけで、アップグレードの「予約」は取り消されていない状態だ。アップグレード自体をやめるには、改めて「Windows 10を入手する」を起動して、予約自体を取り消す必要がある。
「Windows 10を入手する」を起動してメニューを開き、「確認の表示」をクリックする(図16)。その後は、図10以下の手順でキャンセルする。
アップグレード直前になっても取り消せる
アップグレードを予約している状態で予定時刻の15分前になると、間もなくアップグレードが始まるという予告のウインドウが表示される(図17)。アップグレードをキャンセルしたい場合は、ここで「後で実行する」をクリックし、改めて図9以下の手順でアップグレードの予約をキャンセルすればいい。
また、アップグレードが始まってしまった場合は、途中でソフトウェアライセンス条項が表示されるので、ここで「同意しない」をクリックすれば、アップグレードはキャンセルされて元のOSに戻せる。
そしてアップグレードしてWindows 10になっても、1カ月間は元のOSに戻せる。一度Windows 10にしてしばらく使ってみて、それでもやはりどうしてもWindows 7/8.1の方が良いという場合や、動かないソフトや周辺機器が多くて困るというのなら、この手順で戻せる。試しにWindows 10にして、しばらく使ってみるのもひとつの方法だろう。
アップグレードに不安を感じている人は、まずアップグレードをキャンセルする方法をしっかり把握して、不安を取り除いてから検討しよう。キャンセル方法はいくつもあるので、落ち着いて対処したい。
なお、マイクロソフトによるとWindows 10に勝手にアップグレードされることはない。例えば、何も操作していないのに朝になって目が覚めたら勝手にWindows 10へのアップグレードが始まっていたというようなことはない。
そうなってしまったと思っているユーザーは、どこかでWindows 10へのアップグレードを実行してしまったことに気づいていない可能性が高い。「Windows 10を入手する」アプリで、よく確認せずに勢いや惰性で次々とクリックしているうちに、そうした事態に陥ってしまったケースが考えられる。
最後に述べておきたいのは、問題になっているのはアップグレードの推し進め方であって、Windows 10の問題ではないということだ。筆者はWindows 10自体は優れたOSだと考えているし、ソフトや周辺機器の互換性の不安がないのなら、基本的にアップグレードすることをお勧めしたい。
(IT・家電ジャーナリスト 湯浅英夫)
[日経トレンディネット 2016年7月1日付の記事を再構成]
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