私の英語、もしかして失礼? 信頼される敬語表現
仕事に役立つおもてなし英語

一流のビジネスパーソンと呼ばれる人は、仕事のスキルだけでなくビジネスマナーも一流ですね。それは、仕事でかかわる相手への配慮を、マナーという形で表現することによって相手から信頼を得ているためです。これは相手が外国人の場合も全く同じです。
仕事で英語を使う場合、相手も英語ネーティブではないことも結構あります。だから余計に、お互いブロークンイングリッシュでもいい、という意見もありますが、やはりそれでは不十分。信頼される人は相手への配慮をきちんとした言葉で表現していますし、できる上司は部下に対しても常に丁寧な言葉づかいで接しています。
そこで今回は、英語の「敬語表現」をいくつかピックアップします。ほんの数ワードを追加するだけで育ちの良さを感じさせ、相手から一目置かれることでしょう。
「Please sit down.」(お座りください)は失礼な言い方?
もしかしたら皆さんは学生のときに、「日本語にあるような『敬語』は英語にはない」と習ったことはあるでしょうか。尊敬語や謙譲語(自分を下げることで相手を高める)のような表現はありませんが、丁寧語に相当する表現はもちろん英語にもあります。そして、非常によく使われています。
まず、人にお願いや頼みごとをするときの丁寧な言い方を考えてみます。
すぐ思いつくのは「Can you~?」「Will you~?」「Please ~.」という表現です。「Pleaseをつければ丁寧な表現」と習った方も多いと思います。しかし実際には、pleaseは命令や指示をするようなニュアンスが強くなるので、おもてなし英語としてはあまりふさわしくありません。
ちなみに「お座りください」のつもりで「Please sit down.」というと、親が子どもに「座りなさい」と言っているような感じがあるようです。「 Please have a seat.」「 Please take a seat.」などと言い換えましょう。
Could you~?/Would you~?+possibly, mind ~ingでぐっと丁寧に
丁寧にお願いをするには、Could you~?またはWould you~?で始めます。
Could you give me a call tonight?
(今夜お電話をくださいますか?)
Would you give me a call tonight?
(今夜お電話をくださいますか?)
ここで、Could you~?は相手が可能かどうかについて尋ねる言い方、Would you~?は相手の気持ちや意志について尋ねる言い方です。Could you~?の方が相手への配慮が感じられ、より丁寧です。迷ったときはCould you~?の方がおすすめです。
さらにワンランク上の丁寧な表現をする場合や、頼みにくいことをお願いする場合には、婉曲(えんきょく)表現やクッション言葉を使います。
Could you possibly/kindly tell me your schedule?
(スケジュールを教えていただくことはできますでしょうか。)
Would it be possible to reschedule the meeting?
(会議の予定を変更するのは可能でしょうか。)
Would you mind holding on for a moment?
(電話中に:少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか。)
Would you mind if I came along?
(ご一緒してもよろしいでしょうか。)
最後の例文は、ifの後の動詞を過去形にすることで、仮定の意味が加わり、婉曲表現となる例です。
また、Would you mind~ing?は直訳すると「~するのはいやですか?」という意味なので、「いいですよ」と返事したい場合には「Not at all.」や「No.」で。「Yes」と答えると「はい、いやです」になってしまいますね。ちなみに中国語やベトナム語、ネパール語などアジアの言語も、こうした疑問文に対する答え方は日本語と同じです。
プレゼンなど、相手に何かを説明している途中で、「ご理解いただけましたか?」という意味でつい、
Do/Can you understand what I said?
と言ってしまいがちです。これだと、「私の言うことを理解できる能力はありますか」という大変失礼な言い方になります。
Does that make sense?
Am I making sense?
(ご理解いただけましたか?)
もしくは、
Do you have any questions about what I said?
(私の言ったことに何かご質問はありますか?)
がよいでしょう。

おもてなし接客英会話講師 ・接遇マナー講師。一般社団法人 マナー教育推進協会理事。日本航空・JALways国際線客室乗務員として勤務の後、学習院英語センター助手、神田外語学院エアライン科フライトアテンダントコース講師を歴任。ファーストクラスのサービスで培った英語力を生かし、訪日外国人を英語でおもてなしをするための講座が人気。駿台トラベル&ホテル専門学校、駿台外語&ビジネス専門学校などでも講師を務める。著書に電子書籍『おもてなし接客英会話テキストブック:外国人送迎ドライバー向け接遇マナーの基本と接客英語』。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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