女性の活躍、競争力高める 国際シンポで経営者討議
12日に始まった「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」では「女性の活躍が企業競争力を高める」をテーマにパネル討論が開かれた。企業で女性が輝くためには、働く人の意識改革やトップの強いリーダーシップが必要という認識を共有した。
企業での女性登用の必要性について、経団連の榊原定征会長(東レ会長)は「単に女性のためというだけではない。少子高齢化と人口減少が進むなか、企業が持続的に成長していくための切り札だ」と強調した。
女性登用の動きは世界で広がっている。マレーシアのメディアグループ、アストロのロハナ・ロズハン業務執行取締役兼最高経営責任者(CEO)も自らの経験を踏まえつつ「ビジネスで成功するには市場の多様性を理解する必要がある。そのためにも(人材はマレーシアの)多様な社会を反映した構成にすることが重要だった」と語った。
テレビ・ケーブルネットワーク事業などを統括するディズニー・メディア・ネットワークスのアン・スウィーニー共同会長は「女性がリスクのある分野に入り込み、ビジネスを成功に導く力になっている」と強調。日本でヒットした映画「アナと雪の女王」の制作で女性クリエーターが貢献した例を引きながら「成功例をつくるのが大切だ」と強調した。
2020年に役員や管理職などで女性比率を30%にする政府目標には「高い目標を掲げなければ企業幹部は通常のやり方しかしない。才能を持つ優秀な女性を育てる努力がいる」(豪投資銀行マッコーリーグループのケビン・マカーン会長)など前向きな意見が出た。
ただ、役員などに一定割合の女性登用を義務付ける「クオータ制」の導入については、ANAホールディングスの小林いずみ社外取締役が「もともと女性が少ない業界もある。一律に数値目標を掲げるよりはそれぞれの会社が自主的に目標をつくるべきだ」と指摘。榊原氏も「国としてガイドラインが必要としても、一律の目標設定は現実的でない」と同調した。
女性の活躍を後押しするために今後必要な取り組みでは、マカーン氏は「育児休業やフレックスタイム制などがキャリアにとって不利にならないことが重要だ。(多くの企業は)育休中の女性との接触がなく、職場に戻るためのトレーニングもない。橋渡しする仕組みが必要だ」と提案した。
働く女性の側にも自ら成長するためにチャレンジ精神を持ってほしいと呼びかける意見も多く出た。小林氏は「女性だからできないということはなく、チャレンジがチャンスに変わっていく」と強調。職場のトップや上司に求める点としては「失敗してもチャンスを与えてくれるか、修羅場を経験させて鍛えてくれるかだ」とした。
スウィーニー氏も「何でも手を挙げることが大事だ。私が業界に入った時も挑戦するなかで教え導いてくれる存在に出会い、私のキャリアを助けてくれた」と語った。
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