「プラバン」でアクセサリー作り 気軽さが人気呼ぶ
切って描いて私の一品
「みるみる縮んでくっつきそう!」。ワークショップに初めて参加した女性たちから驚きの声が上がる。「あわてないで。割り箸で押さえれば大丈夫」とアドバイスするのは講師を務めるイラストレーターでプラバン作家のMyu2.(みゆつー)さん。「手作りの楽しさを伝えたい」と、各地で指導している。
この日はカフェ&ギャラリーキッチン「カーリースクラム」(東京・豊島)で月1回開くワークショップで、リボンで結ぶネックレスを作った。
「雑貨店などでよく見かけるので挑戦したいと思った」と話す掛田典恵さんは2回目の参加。同じ手作りアクセサリーでも「似たようなものになりがちなビーズなどと違って、プラバンは絵や模様を描くので自分らしさが出て楽しい」。都内在住の佐野友子さんは、横浜DeNAベイスターズのチームカラーの青を基調に星柄をちりばめ、好きな選手の背番号を描いた。「夏の観戦時につけていきたい」と笑顔で話す。
プラバンはもともと模型などの工作用に使われてきた。アクセサリー作りには、スチロール樹脂(ポリスチレン)を原料とするものを使う。「ちぢむプラバン」シリーズを発売しているタミヤ(静岡市)によれば「縮むタイプの薄手のプラバンは、原材料を引き伸ばして加工しており、加熱することで、元の形態に戻ろうとして収縮する」(広報担当の山本暁さん)という。
オーブントースターで加熱すると4分の1程度に小さくなって強度が増す。厚さは製品によって数種類あるが、「アクセサリー作りでは0.2~0.35ミリ程度のものがカットしやすい。ハサミの刃先を使うと亀裂が入りやすいので、中央部を使って切るのがコツ」(Myu2.さん)。画材店や文具店、ホームセンターのほか、100円ショップでも手に入る。
Myu2.さんは発色の良さから、プラバンを焼いたあとにアクリル絵の具で着色する手法を用いるが、「焼く前に油性ペンで描くとより簡単。プラバンにやすりをかけてから着色し、アルコールでにじませることもできる」と話す。マニキュアは肌になじみやすい色に仕上がり、ラメを使うと華やかさが出るという。
着色後はよく乾かし、裏面を保護する。油絵の地塗りに使用されるジェッソを塗るほか、余ったプラバンを貼り合わせたり、ジェルネイル用のトップコートを塗ったりしてもいい。「プラバンは簡単に作れ、いろいろアレンジできるのが魅力。自由な発想で楽しんでほしい」(Myu2.さん)
絵をなぞれば より簡単
「プラバンは不器用な人でも作りやすい」と話すのは、『zucco.のプラバンアクセサリー』(ブティック社)の著者ずっこさん。「透明なので、好きなイラストをなぞっても構わない。型を使わずフリーハンドで丸や四角に切り抜き、水玉やストライプなどで配色を工夫するだけでもかわいく仕上がる」という。
手軽さに加えて、子どものころ遊んだことのある人が懐かしさからアクセサリー作りを始めることが多いようだ。「この数年、大人の女性が作品をネット上の交流サイトに投稿する動きが出てきた」(バンダイのガールズトイ事業部の三井あゆみさん)。同社は4月、女児向けに「プラランシェNEO はじめての3Dきらチャームセット」を発売した。「縮むと塗りムラが目立たなくなるので、子供でも上手に作れる」(三井さん)
この夏、親子でアクセサリーを作ってみるのはどうだろう。プラバンは1枚100円前後、1枚から複数個作れるので気軽な贈り物としてもおすすめだ。
(ライター 田村 知子)
[日経プラスワン2015年6月13日付]
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