5人組「東京ゲゲゲイ」 ダンス超える総合エンタメ
音楽、ダンス、演劇、映像など様々なジャンルを融合したパフォーマンスが持ち味の5人組グループ「東京ゲゲゲイ」が話題だ。結成から3年ほどだが、テレビ番組から舞台に進出し、SNSや口コミで人気が拡大している。
グループの中心は、リーダーであるマイキー(牧宗孝)。幼少時から日本舞踊や和楽器に親しみ、その後ストリートダンスの道に入った。テレビ東京のダンス番組に出演して頭角を現し、その出演メンバーを中心に2013年、ゲゲゲイを結成。奇妙なグループ名は言葉の響きが自身のダンスのイメージに合うことからつけた。演出助手のボウら他の4人の女性ダンサーも個性的だ。
当初はダンスグループとしての舞台活動が主だったが、マイキーがダンスに自作の音楽と映像をミックスしたビデオ作品を動画サイトにアップしたところ、演劇的な構成や演出が注目され、15年に音楽やダンスを織り交ぜた舞台公演「アスタリスク」の脚本・演出に抜てきされた。
「彼は高いレベルで曲が作れて踊れて演出もできる」と、同作を担当したパルコエンタテインメント事業部の中西幸子氏は言う。ビデオは口コミやSNSで評判を呼び、昨年1月、お笑いコンビ、ナインティナインの岡村隆史がテレビ番組でゲゲゲイを紹介すると、人気に火が付いた。
昨年11月には東京芸術劇場で初の単独公演「東京ゲゲゲイ歌劇団」を開いた。アップテンポのダンス曲からバラードまで、劇中で使われたマイキーの楽曲の水準は高い。躍動感のある激しいダンス、新宿のアングラ文化の影響が感じられる牧の中性的で妖艶な歌声は人間の感情や情念を率直に表現した歌詞と不思議に合う。劇中ではメンバーをユーモラスに紹介した映像や、葬式をモチーフにしたダンスも披露し、聴衆を楽しませた。計9回の公演はほぼ完売だった。
グループはアジアのアーティストやダンサーが集う公演「ダンス・ダンス・アジア」の演出や振り付けを手掛けるなど、世界進出もうかがう。「あらゆる可能性を感じる。今後の作品が予測できない」と中西氏。いい意味で期待を裏切りながら、さらに活躍の場を広げそうだ。
(岩)
[日本経済新聞夕刊2017年1月11日付]
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