トイレはどこ 出先での「急用」、アプリがお助け
住宅地図最大手のゼンリンの子会社、ゼンリンデータコム(東京・港)が今年3月から提供する「恋するマップ」は、地図上でエステ、ネイルサロンやカフェなどの女性向けの情報を提供する無料アプリ。中でも人気のコンテンツが地図上でトイレを検索できる機能だ。
「きれい」の要望反映
企画を担当したモバイルサービス本部の中西紀子さんは「女性に何を調べたいかアンケートをとったら、『きれいなトイレ』という回答が上位に入ってきた」と話す。単に用を足すだけということが多い男性と違い、化粧直しや髪の簡単なセットなどもしたい女性にとってはパウダースペースやコンセントの有無などの情報が重要だという。
現在紹介しているトイレの数は東京や大阪、名古屋などの大都市圏の駅や商業施設などにある300強。ゼンリンデータコムの女性社員が実際に現地調査し、決められたチェック項目に従って点数をつけている。「ある程度の点数がついたトイレでないとアプリで紹介しない」(中西さん)。同社が自信を持ってお薦めするトイレしか掲載していないという。
実際の画面上では、現在地など調べたい場所の地図を表示すると近くに登録されているトイレの場所がアイコンで表示される。アイコンをタップすると詳細な情報が表示される仕組みだ。写真や利用可能な時間が表示されるほか、同社の調査員がお薦めポイントを紹介している。設備についてはパウダースペースやコンセント、おむつ替えシートなど13項目の有無が表示される。
車いすなどに対応した多機能トイレを探すことができるのがNPO法人チェック(東京・世田谷、金子健二代表理事)が運営する無料アプリ「Check a Toilet(チェック ア トイレット)」だ。首都圏を中心に全国約5万3千件の多機能トイレの情報を提供している。
代表理事の金子さんは「障害を持つ人が外出先で気になるのが、使えるトイレがあるかどうかということ。事前に情報があれば安心して外出できると思った」と話す。2007年7月からウェブ上で情報提供サービスを開始、10年からスマホ向けのアプリでも提供を始めた。
オストメイトも表示
このアプリも地図上でトイレの位置がアイコンで表示され、オストメイト(人工肛門や人工ぼうこうを持つ人)に対応しているか、非常呼び出しボタンがあるかなど、障害者に必要な設備を備えたトイレかどうか一目で分かる。
まだアプリには掲載されていない多機能トイレを投稿できるのも特徴。アプリの利用者が実際に利用したトイレの情報を新たに登録することで、掲載数は徐々に増えていっているという。金子さんは「トイレに困っている障害を持つ人は全国でも多く、エリアや掲載数をもっと拡大していきたい」としている。
「とにかくどこでもいいから近くのトイレを素早く探したい」。そんな緊急事態に陥った人が重宝しそうなのが下痢止め薬を製造しているライオンが提供する無料アプリ「@トイレ」だ。トップページにある「EMERGENCY!」と書かれたアイコンをタップすると、近くにあるコンビニエンスストアやカフェなどのトイレと、現在地からの距離が表示されるので、最短距離にあるトイレがわかる。行きたいトイレを選択すると地図上に場所が表示される。
外出先での楽しいひととき。トイレを探して歩き回ることはできれば、避けたいものだ。目的に応じてトイレ探しアプリを使い分ければ悩みの種が一つ減りそうだ。
(電子整理部 三宅一成)
[日本経済新聞夕刊2014年10月23日付]
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