濃厚な味は酒・飯の友に 調味料代わりにパスタにも
伝統の珍味・へしこの魅力を探る(2)
塩味が強いへしこ。へしこをおいしく食べるコツは、その塩味をどう和らげて味わうかにあるといえる。
王道ともいえる食べ方は大根へしこ。薄くスライスしたサバのへしこをこれまた薄くスライスした大根ではさみ、ゆずやレモンなどと合わせていただく。
塩辛さを和らげるだけでなく、しっかり大根の甘味も楽しめるのが魅力だ。
イカのへしこは大根おろしとともに。実山椒をぱらりとかければ、塩気とシビレ、ダブルパンチで酒が進む。
野菜と合うということは、ドレッシングにもなるはず。
東京・青山のアンテナショップ「福井南青山291」で、イカのへしこをオイル漬けにしたものを売っている。これを細かく刻み、塩の代わりに使ってドレッシングにすると、へしこのうまみが野菜の味をより鮮明にする。
意外だったのがチーズとの組み合わせ。
へしことチーズを巻き寿司にする。酢飯との相性もいい。
ちらし寿司には、サバやシイラのへしこを小さく刻んで、寿司桶の中でよくご飯となじませる。
実はへしこ、パスタにもよく合う。筆者のイチオシはへしこのスパゲッティ。アンチョビがパスタに合うのだから、へしこが合わないはずがない。
福井県嶺南地方の中心都市・小浜の居酒屋でへしこスパゲッティに出合ったことが、へしこに興味を持つようになったきっかけだ。
もちろんピザにも合う。
へしこのピザは、たっぷり生野菜をのせて。強い塩味が生野菜とピザ生地とのいい橋渡し役になっていた。
もちろん、そのまま食べてもおいしい。切って刺身で、あるいは炙って焼きへしこにして…。少しずつかじれば、いい酒の友になる。
同様に、炊きたてのご飯に、あるいはお茶漬けにちょっとのせてもいい塩梅になる。
(渡辺智哉)
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