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改善魂やまず(22) 価値ある異業種との出会い トヨタ自動車元技監 林南八氏

2013/7/23 日経産業新聞

異業種にトヨタ式を導入。

 1982年、ウシオ電機の社長だった木下幹彌さんがウシオ電機を立て直し、社長を降りられました。その際、株式会社MIPを立ち上げ、異業種にトヨタ生産方式を展開しようと「NPS研究会」を開きました。当時、大野耐一さんも鈴村喜久男さんもトヨタを退職しておられたので、豊田英二会長(当時)の了解を得て大野さんを最高顧問に、鈴村さんを実践委員長に招き、立ち上げ後1年で活動を本格化させました。

調印式には張氏や豊田氏が出席(右から2人目が本人)

 40~50社が参加した大きな研究会になりましたが、異業種ですのでトヨタ生産方式(TPS)とは言わずにニュープロダクションシステム(NPS)という名称を用いました。NPSのルーツはTPSですが、当時から製造現場だけでなく、開発、製造、営業販売と一気通貫で取り組む研究会で、経営そのものの改革を狙っていました。

 恩師の鈴村実践委員長が「お前も勉強したけりゃ顔を出してもいいぞ」と声を掛けて下さいましたが、当時は製造課長になりたてで、長期出張で席を空けるわけにはいきません。土日を使って通うことで勉強させていただきました。外食産業や食料品メーカーなど多種多様でトヨタではできない体験を積むことができました。

トヨタと提携。

 大野さん、鈴村さんが他界し、鈴村さんが当初連れて行かれたトヨタOB(大野学校の現業の門下生)も高齢になり、先行きを心配されたMIPの木下社長が「日本の産業を守りたい。この活動を継続していくためにもトヨタとアライアンスを組みたい」との申し入れがありました。

 当時社長だった張富士夫さんも「大野さんと鈴村さんが最後に手掛けた仕事でもあり、トヨタの理念とも合致するのでぜひやりましょう」ということで、2001年3月23日、当時取締役の豊田章男さん立ち会いの下、張社長と木下社長で調印が交わされました。現在も活動の連携だけでなく、人的交流もなされており、鈴村さんが務められていた取締役実践委員長は、トヨタ生産調査室OBの遠山保宣さんが引き継ぎ、立派に活躍しています。

 この関係と経験がその後のトヨタの活動にも大いにプラスになりました。例えば、郵政事業の改善のお手伝いや、流通業界の物流基地の改善、経団連からの依頼で手掛けた農業の改善、病院の合理化等、異業種との出会いがあったからできたものと思っています。

 章一郎名誉会長(当時社長)の指示で米国に設けたTSSC(トヨタサプライヤーズサポートセンター)も生産調査室の経験者を送り込み、日米貿易摩擦を緩和するため米国のサプライヤーや他業界を指導するだけでなく、病院の合理化など幅広く活躍中です。

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