社内の飲み会に行くか、プライベートを優先させるか会社人生を決める7つの選択(2)

平康 慶浩 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント

平康 慶浩 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント

もちろん社内の知り合いが増えたからといって全員が出世するわけではない。会社行事に力を入れたところで日々の成果がすぐに高まるわけでもない。それよりもむしろプライベートをゆっくり過ごすことで次の激務に備えたい、と思っても不思議ではない。

会社行事に出席したくない、と思う心が出世を阻んでいる

重要なことは第二の理由にある。会社行事に積極的に出席しているということは、すでに会社の中にネットワークを持っているということだ。会社行事は、新しいつながりを作る効果よりも、今存在するつながりを再確認し強化する効果の方を強く持つのだ。

初めて出席する会合に知り合いがいないとなれば、誰だって出席を躊躇する。あなたが会社の人たちとのコミュニケーションを不要と考えたり、あるいは軽視したりするということは、あなたがネットワークをまだ持っていないからではないだろうか。

会社行事を重要視しないということは、あなたが会社でつながりを作れていない可能性がある。そしてつながりが少なければ、成果に対する評価はされたとしても、出世に必要な評判や推薦は得られない。専門性において孤高の存在になることはできるかもしれないが、専門性のみを評価するビジネスは皆無だ。

つまり会社行事に出たくないあなたは、会社に対する気持ちが冷めているのだ。そして会社に対して冷めた感情を持っている人が出世することはありえない。

社内の飲み会に出たくないなら、社外の飲み会に出る

あなたがコミュニケーションを苦手とするのであれば無理をすることはない。しかしそんな場合でも、社内で親しくする人たちはいるはずだ。会社行事を欠席するのであれば、親しくしているその人たちとのコミュニケーションを増やすことは考えよう。

人事制度設計の背景にある経済学では、これらのつながりを、「企業特殊的人的資本」の一部として定義する。反対の定義は「一般的人的資本」という。簡単に言えば、企業特殊的人的資本とは、その会社でしか通用しないスキルやつながりだ。反対に一般的人的資本とは、転職しても起業しても使えるスキルやつながりのことだ。

多くの日本企業では、企業特殊的人的資本が重要視されてきた。なぜなら多くの人たちは定年までその会社で働き続けるからだ。日本で働く人の平均転職回数は欧米や他のアジア諸国などに比べて少ない。ほとんどの人は最初に入った会社で勤め続けようとする。そこでうまくやるためには企業特殊的人的資本が必要になる。それは社内の知り合いであり、お互いに何ができるかを知りあっている人間関係だ。

どうしてもこのつながりを作れないタイプの人がいる。実は私自身にもその傾向があった。そういうタイプの場合にはどうすればいいのだろう。

答えは一般的人的資本を積むことだ。

理想としては自分に肩書きがなかったとしてもつながれる人たちと知り合うことだが、なかなかそうもいかない。むしろ肩書きをうまく使いこなす方が良い結果が出る。たとえば自分が一流企業の営業課長であるとすれば、その肩書きで出られる集まりなどに顔を出す。名刺交換をした相手とその都度連絡をとりあい、情報交換をするなど、方法はいくらでも考えられる。社外で知り合いを増やす交流会に出席したり、社外研修に出席する、あるいは社会人大学院に通うという選択肢もある。

そうして一般的人的資本を積んだあなたが、なんらかのきっかけで社内で出世したとしよう。そうなったとき、あなたの気持ちとして、会社行事に積極的に出ることがあたりまえになっているはずだ。

要約
どの型の企業であっても飲み会や会社行事と評価は関係しない
会社行事に参加したい/参加したくないという思いは、自分自身の会社への関わり方をあらわしている
出世した人は会社行事を自分のものとしてとらえている

◇   ◇   ◇

平康 慶浩(ひらやす・よしひろ)
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント
1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年よりセレクションアンドバリエーション代表取締役就任。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。大阪市特別参与(人事)。著書に3万部超のヒットになった『出世する人は人事評価を気にしない』のほか、『7日で作る新・人事考課』『うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』がある。

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著者 : 平康 慶浩
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

[日経Bizアカデミー2016年1月5日付]

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