出張・旅行… 機内もOK! お薦めのスーツケース
新年度を迎え、出張や休暇の旅でスーツケースの出番が増えるころ。手荷物のサイズや重量制限が厳しくなり、メーカー各社は軽量化や扱いやすくするための技術改善を競っている。そこで機内持ち込みもできるおすすめのスーツケースを専門家に選んでもらった。
丈夫で軽く 進化
こうした小型のケースでキャスター(車輪)が付いたタイプは「トローリーケース」とも呼ばれる。最近は金属フレームとちょうつがいを使わず、ファスナーで閉じるタイプが多い。
素材もポリカーボネートなどを使って丈夫さと軽さを両立した。指1本で持ち上がるほど軽い製品もある。ほとんどの製品に、米運輸安全局(TSA)の基準に合わせた「TSAロック」が採用されている。
容量は機内持ち込みサイズの場合、約40リットルを実現している製品もあり、縦、幅、奥行きそれぞれの制限にどう対応するかの工夫がデザインにも影響してくる。ノートパソコンやタブレットなどを収めるポケットを外側に装備したり、開き方など使い勝手に工夫を凝らす。
スーツケースは預け入れると、手荒く扱われることも多い。工業デザイナーの田中信吉さんは「キャスターやハンドル、ファスナーが壊れやすい」と指摘する。購入の際は構造のほか、修理体制などもチェックしたい。
前面にポケット、手軽に出し入れ
衝撃に強く、耐久性が高いポリカーボネートにABS樹脂を混ぜた素材で強度を高めているほか、キャスターは静音タイプを採用し、取り付け部を本体に埋め込むことで収納スペースを広げた。3年間の製品保証が付き、期間内は航空会社による破損も無償修理の対象としている。
「収納量が多く、国内移動など幅広い場面で使いやすい」(熊谷千重さん)、「前面ポケット内の間仕切りや、メーン収納の中仕切りのスライダー形状が工夫され、使い勝手が良い」(小田充則さん)。4色を展開。他のサイズはなし。(1)50×40×25センチメートル(2)3.1キログラム(3)40リットル(4)4輪(5)ポリカーボネートハイブリッド樹脂(6)ファスナー式(7)5万4000円(8)エース((電)03・5843・0606)
洗練されたデザイン 走行性も◎
「つや消しの色合いが落ち着いた雰囲気。キズが目立ちにくく、汚れも落としやすい」(小谷野明子さん)。細かい工夫が光る。4色展開。(1)55×40×20センチメートル(2)3.0キログラム(3)35リットル(4)4輪(5)ポリカーボネート(6)ファスナー式(7)5万9400円(8)林五((電)03・6804・2952)
重さ1.8キロで軽々、楽々
ハンドルは支柱一本で高さを多段階に調節できる。「サイドハンドル付きで扱いやすい」(田中信吉さん)、「カーヴ素材が個性を主張する」(小坂伸一さん)。5色展開。(1)55×40×20センチメートル(2)1.8キログラム(3)36リットル(4)4輪(5)カーヴ(6)ファスナー式(7)6万1560円(8)サムソナイト・ジャパン((電)0800・12・36910)
アルミ製ながら軽量 使い勝手よく
「職人のハンドメードで、耐久性に優れる。どのような服装にも合わせられるデザインの良さと高級感がある」(太田栄一さん)(1)55×40×20センチメートル(2)4.2キログラム(3)32リットル(4)4輪(5)アルミニウム・マグネシウム合金(6)フレーム式(7)10万8000円(8)林五
ダイヤルでキャスター固定
「4輪走行がスムーズな上、ストッパー付きで公共交通機関での移動に便利。伸縮ハンドルの調節もしやすい」(村田和子さん)。5色を展開。(1)53×36×24センチメートル(2)3.5キログラム(3)30リットル(4)4輪(5)ポリカーボネート(6)フレーム式(7)2万4840円(8)エース
前面が大きく開閉するポケットに書類や小物を収納できる。フレームは極細タイプで、上部2カ所の角を補強している。キャスターは日本メーカーのもの。「頑丈で便利でコストパフォーマンスが良い」(八重野充弘さん)(7)2万3760円(8)ティーアンドエス((電)048・969・8688)
ファスナーの部分を広げると、容量が通常時の39リットルから5リットル増えるエキスパンダブル仕様がうれしい。「ファスナーのつまみが持ちやすく、開閉しやすい。軽くて女性も扱いやすい」(藤沢理恵さん)。ファスナー部にあるポケットも便利。4色展開。(7)1万8360円(8)サンコー鞄((電)0561・62・1101)
フレームを使いつつ、同クラスで約20%も軽くできた。上部と側面には手を離すとゆっくり戻るハンドルを使用した。「内装は両面に中仕切りを装備し、しっかり固定できる」(長屋明子さん)。5色展開。(7)2万1600円(8)エース
縦方向にも横方向にも開けられる。片面に集約して荷物を入れるので高さがある物も収納しやすい。「スーツケースを立てたままパソコンなども出し入れできる」(小坂さん)。7色展開。(7)5万9400~6万4800円(8)エース
フランスの人気ブランド。外装はエンボス加工で、内装幕と共布の巾着ポーチ付き。「シックで個性的なデザイン」(村田さん)。キャスターはストッパー付き。3色展開。(7)2万5920円(8)サンコー鞄
◇ ◇ ◇
表の見方 数字は選者の評価を点数にした。(1)外寸(縦×幅×奥行き、センチメートル)(2)重量(3)容量(4)キャスター(5)素材(6)形式(7)消費税込み価格(8)発売元(問い合わせ先電話番号)。撮影協力=日本空港ビルデング
調査の方法 機内に持ち込めるサイズ(100席以上の航空機で3辺の合計が115センチメートル以内。各辺が55×40×25センチメートル以内。100席未満の機種では基準が異なる)のスーツケースの中で、店頭の売れ筋や在庫状況、発売元への取材などから22製品を選んだ。日経本社にそれらを集め、専門家に、実際に手にして持ち運びやすさや収納性などを試してもらったうえで旅行や出張に使いやすい品を順位付けして選んでもらった。専門家は次の通り(敬称略、五十音順)
太田栄一(ハンズビー 丸の内オアゾ店)▽小田充則(第一ボデー・スーツケースリペア事業部営業企画部長)▽熊谷千重(阪急交通社ツアーコンダクター)▽小坂伸一(ダイヤモンド・ビッグ社「地球の歩き方」編集長)▽小谷野明子(トコー有楽町店主任)▽田中信吉(ゼロワンデザイン代表)▽長屋明子(近畿日本ツーリスト・ホリデイツアー添乗員)▽藤沢理恵(JTB添乗員)▽村田和子(オールアバウト「旅行」ガイド)▽八重野充弘(日本旅行作家協会事務局長)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。