識者が語る10年先の未来 日本らしいビジネスが開く『2030年 ビジネスの未来地図』

未来を想像するとき、入り交じるのは不安と期待だ。コロナ禍となり、不安の方が大きいかもしれない。先行き不透明な日々が続いているが、これから世界はどう変わるのか。

ヒントが、本書『2030年 ビジネスの未来地図』にある。経営コンサルタントなどビジネス界で活躍する18人が、「2030年に向けて注目している変化」「衰退するビジネス」「新たに発展するビジネス」「個人が身につけるべきスキル・思考・行動様式」の視点で見解を述べている。

本書は、月刊『THE21』(PHP研究所)2021年6月号と7月号の特集「2030年の世界はこうなる!」の記事を再編集したもの。

リンゴ農家がミカンを育てる

経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏は、注目している変化に「気候変動」を挙げる。実は重大なリスク要因でありながら、未来予測の際に最も見落とされがちだという。現在の温暖化対策は、2050年ごろまで効果が期待できない。豪雨などの気象災害は今後も続く。身近なところでは、気候変動による農業ショックで私たちの食生活に影響が出始める。

例えば、「青森県産リンゴ」が食べられなくなる。地球の平均気温上昇に伴い、10年後にはリンゴ農家がミカンへの転作を考えると鈴木氏は分析。その土地に適した農作物が変わることは科学者も予測しており、転作しないのであれば遺伝子改良は避けられない。人体への影響がグレーゾーンの遺伝子組み換え食品が食卓に並ぶことは、残念ながら現実となる。

こうした未来に私たちはどう備えるべきか。鈴木氏は、「SDGs(持続可能な開発目標)」をキーワードに挙げる。NPOやベンチャー企業が行っている様々な取り組みに個人として興味を持ち、情報を集めて実際に体験してほしいと語る。当事者になれば、起こりうるリスクに敏感になり、未来のために行動様式を変えてみる気にもなりそうだ。

次のページ
日本らしさを活かして戦う
ビジネス書などの書評を紹介