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電柱には景観や交通の妨げになりがちだ(写真はイメージ)=PIXTA

電柱には景観や交通の妨げになりがちだ(写真はイメージ)=PIXTA

景観や街の交通の邪魔になるとして電柱を地下に埋める計画は進んでいるのよ。政府は5月に「無電柱化計画」を立てたわ。ところが電柱の数自体は減るどころか増えているのが実情なのよ。

進まない無電柱化の状況について、加藤正恵さん、龍玲子さんが谷隆徳編集委員に聞いた。

加藤さん「電柱というと、観光地で写真を撮るときに美しい景色の中に映り込んでいて、邪魔だなと感じることがあるのですが」

日本では世界遺産の景観や自然の風景を電柱が損なって「せっかくの富士山が電線に重なっている」ということがありますね。普段のくらしの中でも、狭い歩道で車椅子の通行の障害になったり、防災の問題になったり。2019年9月に千葉県を直撃した台風19号では約2000本の電柱が壊れて、最大93万戸の家庭が長期停電になったのが記憶に新しいですね。

龍さん「世界の街では、あまり電柱は気にならない気がします」

ロンドンやパリ、香港やシンガポールといった欧米・アジアの主要都市では、電線を地中に埋めている比率がほぼ100%です。これに対して東京23区や大阪市は国内では地中化が進んでいる地域ではありますが50%以下。日本全体では6%弱と海外の先進地に比べて遅れています。電柱や電線がない道路の割合を調べると、東京23区で8%、大阪市で6%ですよ。

加藤さん「電柱を減らす取り組みはないのですか」

政府は5月に新たな「無電柱化推進計画」を策定しました。21年度から5年間で約4000キロの道路で電線の地中化、電柱の撤去に取り組むという内容です。電柱はおおむね40メートル間隔で立っているので、年間2万本をなくす計画になります。重点地域として救急車や消防車などが走る幹線道路、高齢者や障害者への配慮が必要な駅周辺などの道路、世界文化遺産や重要伝統的建造物群保存地区の周辺道路を挙げています。

これに先だって政府は16年に無電柱化推進法という法律を作っています。ところが電柱の数の変遷を見ると、18年度末時点で3592万本あり、それまでの10年間で67万本増えています。年間約7万本ずつ増加している計算ですね。推進計画で年2万本減らすといっても、新設を抑えないと電柱の総数は減らないことになりますね。

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