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回収したカプセルは小型チャーター機で羽田空港まで運んだ=JAXA提供

エンジンの故障をはじめ数多くのトラブルに見舞われながら、困難を乗り越えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネージャを務めた、元シニアフェローの川口淳一郎氏は、小惑星からサンプルを持ち帰る世界初の試みを成功に導いた。川口氏の「仕事人秘録」の第20回では、カプセル回収当時を振り返ります。

◇  ◇  ◇

小惑星「イトカワ」のサンプルを納めたカプセルの回収は順調に進んだ。

探査機の「はやぶさ」は役目を果たして燃え尽きましたが、われわれの仕事は終わったわけではありません。はやぶさが持ちかえったカプセルを回収して、サンプルを確認しなければなりません。

予定通りにパラシュートを開いて位置を知らせる信号を発信するのが理想ですが、そう簡単にいくとは思えません。信号が出ないことを想定して、スタッフが10メートル間隔に並んでオーストラリア南部のウーメラ砂漠を歩いて人海戦術で探す用意をしていました。

しかし再突入した6月15日の午後11時ごろにカプセルが着陸すると、位置を知らせる信号が予定通りに発信され、降下した位置はほぼ正確にわかりました。発見まで数日はかかると覚悟していたのですが、その日のうちに捜索のヘリコプターからカプセルを確認できました。ただ現地でも深夜になり、実際にカプセルを回収したのは翌16日になってからでした。

回収されたカプセルは小型チャーター機で運ばれ、17日夜に羽田空港に到着。相模原市のJAXA宇宙科学研究所に着いたのは深夜0時を過ぎていましたが、多くの職員や報道陣が祝福してくれました。打ち上げから7年たったカプセルが新品同様にきれいだったのには驚きました。

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