ひらめきブックレビュー

ゲームやYouTubeは悪者? デジタル時代の子育てとは 『ニュー・チャイルドフッド』

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ビデオゲームや動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」などのデジタルな遊びが子どもを惹きつける力は、恐ろしいほどだ。夏休みの間、「あとちょっと」とせがむ小学生の息子に「もうおしまい!」と何度返したかわからない。 つい声を荒らげてしまうのは、ゲームをし過ぎると子どもが攻撃的になるのではないか、ユーチューブばかり見ていると集中力や社交性を欠くのではないか、などと心配するためだ。では、ゲームやSNS(交流サイト)は本当に子どもに悪い影響を与えるのか?

むしろ、デジタルな遊びやSNSなどのオンラインツールによって、子どもたちは「つながりあう世界に生きる準備ができる」と説くのが本書『ニュー・チャイルドフッド』(関美和・村瀬隆宗訳)だ。歴史上の技術革新による生活の変化と現代を照らし合わせ、新しい時代の子どもの遊びや教育、社会性などについて提言する。著者はテンプル大学准教授で、デジタルな遊びを通した学びの専門家。2児の父でもある。

■いつの時代も新技術は批判の的

子どもには、ゲームより読書をしてほしいと思う親は多いだろう。しかし、印刷物が生まれた時代には、「読書は孤独と孤立を強める」という批判があった。ゲームに没頭する子どもを心配する親がテクノロジーを批判するのは、かつての印刷物批判と共通すると、著者はいう。

ビデオゲームで遊ぶ子どもの精神や脳、倫理観について、大人は1980年代から心配してきた。しかし、ビデオゲームは、テレビや映画の筋書きを双方向的にしたもので、小説などにも通じる。親子で遊べば、家族の時間にもなる。大人の世界は、いまや、Eメールやビデオチャット、SNSなどに満ちた「つながりあった世界」である。オンラインゲームで友人たちとつながって遊ぶ経験は、子どもたちが、大人の世界で生きるための準備になる。本書では現実世界と仮想世界の二者択一ではなく、両方の世界でさまざまな経験を積むことが重要と説く。

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