生活改善とともに取り組みたいのが運動療法だ。股関節の安定性を保つには周辺の筋肉を強化する必要がある。運動を通じ、股関節の可動域を広げる効果も期待できるという。例えば両脚で立って「骨盤回し」。高平教授は「股関節に痛みがあると、周辺の筋肉がこわばりがちになる。骨盤をゆっくりと大きく回す動的ストレッチで筋肉をほぐせる」と説明する。

横向きに寝て、上側の脚を上下に動かす「サイドキック」はお尻の横にある中殿筋を鍛えるトレーニング。「変形性股関節症の人は中殿筋が弱っている。股関節を支えるこの筋肉をしっかり鍛えてほしい」と高平教授。横になった姿勢ででき、股関節に体重の負荷がかからない。

プールで「水中ウオーキング」をする手もある。股関節の痛みのために陸上では長時間歩けなくても、水中ならば浮力を利用して楽に歩ける。杉山病院長は「無理のない範囲で、水中だからこそできる大股歩きなどを実践してみてほしい」と提案する。

それでも症状が改善しない場合は「骨切り術」「人工股関節置換術」といった手術を検討することになる。術後も股関節をいたわる生活と運動療法を続けるのが大切だ。

(ライター 松田亜希子)

[NIKKEIプラス1 2021年9月4日付]

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