そのため、プロセスエコノミーのトレンドに乗った事業戦略で重要な観点が「Why」(なぜやるのか・哲学・こだわり)をさらけ出すこと。よいヒントとして挙がっているのが楽天グループの人気店だ。楽天グループには、異様にマニアックな店長がいるワイン店がある。その人の仕入れぶり、深い知識やこだわり、偏愛が伝わり、ついつい興味を持ってしまう。さらに、メルマガなどで「なかなか納得いくワインが仕入れられず、会社の経営がマズいことになっています」など弱みも開示しているので、店主の人間味を感じる。購入する側は、店と顧客という関係ではなく、同じプロセスを歩む同志のような気になり、その店を支えたくなってしまうのだ。

正解主義から修正主義へ

このようにプロセスの重要性を理解し、「正解主義」から「修正主義」へ移行しよう、というのが著者の主張のひとつだ。生産者は完璧なアウトプットを世に出そうとするのではなく、修正を前提に、多様な人を巻き込みフィードバックを反映させて進める意識へ変換していく必要があると説く。

かくいう本書もプロセスエコノミーの実践だ。著者のオンラインサロンで、編集者との打ち合わせから目次の決定、本文の修正などの情報がフルオープンにされていた。その甲斐あってか、発売前にすでに重版が決定したという。本書をきっかけにし、自社のビジネスの中で、顧客と共有できる部分を探してみてはいかがだろうか。

今回の評者 = 倉澤順兵
情報工場エディター。大手製造業を対象とした勉強会のプロデューサーとして働く傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。東京都出身。早大卒。

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる

著者 : 尾原 和啓
出版 : 幻冬舎
価格 : 1,650 円(税込み)