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ひらめきブックレビュー

コオロギこそ環境に優しい食品 昆虫の秘めた可能性『最強の食材 コオロギフードが地球を救う』

2021/9/9

ひらめきブックレビュー

コオロギって食べられるの? そう思う人もいるだろう。だが最近、スーパーの棚などをよくよく見ると「コオロギスナック」なる商品が販売されている。実は今、昆虫を食べることが、世界的に注目されているのだ。本書『最強の食材 コオロギフードが地球を救う』は、なぜ昆虫を食べるのか、その背景と、コオロギに秘められた可能性、国内外のコオロギフード事例を詳しく紹介している。著者の野地澄晴氏は日本のコオロギ研究で中心的な存在で、徳島大学の学長でもある。

コオロギは万能食材の「スーパー昆虫」

昆虫食が注目される背景には、人口増加に伴う地球規模の食料難がある。国連食糧農業機関(FAO)の予測によると、2050年には、人間が食べる動物性たんぱく質が1億トンも不足する。しかし、家畜は地球温暖化を引き起こす原因の一つと考えられ、今よりも増産することは難しい。そこで昆虫の出番だ。昆虫であれば、ウシやブタといった家畜より何倍も効率的にたんぱく質を得ることができる。

特にメリットが高いのが、コオロギだ。雑食のため、食品廃棄物をエサに育てることができ、賞味期限切れの食品をそのまま捨てるフードロス対策に貢献する。しかもコオロギは一年に何度も繁殖する。例えば、フタホシコオロギは理想的な環境であれば、1000個の卵から1年後には477兆匹にも増えるという。

それだけではない。コオロギの脱皮した皮にはナノファイバーがあり、骨の再生治療に有効に使える可能性がある。さらに、フンは肥料になる。コオロギは、環境に優しく効率の良い食品というだけでなく、余すところなく活用できる、持続可能な、まさにサステナブル(持続可能)な昆虫といえそうだ。

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