シャンプー「BOTANIST(ボタニスト)」などの日用品や美容家電を製造・販売するI-ne(アイエヌイー)の業績が好調だ。2021年12月期第1四半期(2021年1~3月期)には、売上高が前年同期比42.1%増となる71億9400万円、営業利益が同746%増の9億5600万円に到達した。好調の主因は次々にヒット商品を市場に送り出せているから。ヒットの連打を可能にする、同社独自のマネジメントシステムの仕組みをひもといた。

 I-neの業績好調の背景に、SNSを活用した効果的なマーケティング施策を展開したり、商品を取り扱うリアルな小売店の数を増やしたりといった活動の成果があることは間違いない。しかし、そもそもは打ち出すブランドや発売する商品が軒並み好調な売れ行きを示しているのが、好業績の主な理由である。

 21年3月にリニューアルしたヘアケアなどの「BOTANIST」、またヘアアイロンやドライヤーなどの「SALONIA(サロニア)」という主力ブランドが前年同期比49.6%増となる58億2000万円を売り上げた。さらに、加熱式たばこ「NICOLESS(二コレス)」や、粘土質(泥)から採取できる天然成分の「クレイ」を配合したシャンプー「DROAS(ドロアス)」といった、19年度以降に立ち上げた“育成ブランド”も、同154.5%増となる11億2000万円を売り上げている。

3つの手法で商品のアイデアを収集

 I-neが次々にヒット商品を生み出す背景には、「IPTOS(イプトス)」と名付けた独自のブランドマネジメントシステムがある。「Idea(アイデア)」→「Plan(企画)」→「Test(検証)」→「Online/Offline(EC/一部小売り)」→「Scale(ECスケール/小売り本格展開)」というように、商品を企画する段階から大規模に売り出す段階まで、5段階のフェーズとKPI(重要業績評価指標)を設けて管理することで、「リスクを抑制しながら多くの商品を開発して市場に投入できる」(I-ne取締役マーケティング本部本部長の藤岡礼記氏)というわけだ。

I-neが開発した独自ブランドマネジメントシステム「IPTOS」の流れ
I-neが開発した独自ブランドマネジメントシステム「IPTOS」の流れ

 今回はIPTOSのうち、商品の企画・開発に関わるIPTまでのプロセスを追う。まず商品やサービスのアイデアは、3つの手法で収集している。

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