2021/9/24

損害保険会社でつくる損害保険料率算出機構に問い合わせると「社会環境の変化などでリスクは変わり、必要に応じて改定される」と説明された。具体的にはこんな流れだ。地震の規模や発生間隔を示す資料や地形・地盤に関するデータの最新版から各地域のゆれや津波を予測する。次に住宅密集度や建物の耐震性も考慮して損壊率や焼失率などを計算する。その結果、地震リスクが低くなれば保険料は下がり、高くなれば上がる。

今回の改定に際しては地震発生頻度が上昇する一方、高耐震性住宅の普及なども進んだ。リスクの上昇と下落、それぞれの影響を合計すると、全体では引き下げ要素が少し上回った。ただ、全国平均は0・7%減でも、引き上げになった地域も多い。特に茨城、埼玉、高知、徳島の4県は最大30%近く上がる。もし居住地域で大幅な引き上げがあったらどうすればいいのか。

竹下さんに改めて聞くと「地震保険は万一の備えで、保険料が高いからやめるというのは避けたい。保険料アップにきちんと準備をすべきだ」と回答。日ごろの貯金も大切だが、家計のムダを省くのも有効だ。例えば、「医療保険に過剰に入っていて、1つやめるだけで地震保険料の上昇分はすぐ払えるという世帯も意外に多い」(竹下さん)という。

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歴史が浅い地震保険

防災の日、9月1日は1923年に関東大震災があった日だ。当時、地震保険はまだなかった。損害保険料率算出機構の資料によると火災保険金支払いを求める訴訟もあったが「免責」と退けられた。地震自体の被害はもちろん、関連する火災なども通常の火災保険ではカバーされない原則は今日まで変わらない。

66年に地震保険が創設された後も多くの大地震が日本を襲った。95年の阪神大震災の後は地震保険加入率は大きく上がり、2011年の東日本大震災は保険料の大幅引き上げにつながった。災害の度に地震保険も様々な制度見直しを繰り返している。考えてみれば地震保険はまだ還暦前の55歳。地震大国、日本を支える制度としてなお発展途上の段階にあるのだろう。

(堀大介)

[NIKKEIプラス1 2021年8月28日付]