ストレス呼ぶ思考パターン抜け出す 精神科医の処方箋『ストレスの9割は「脳の錯覚」』

先の見えない新型コロナウイルス禍の生活に、ストレスを感じている人は多いだろう。しかし、このストレス、もしかすると「思い込み」によって増幅されているのかもしれない。

本書『ストレスの9割は「脳の錯覚」』によれば、思い込みを引き起こす「まずい思考パターン」があるという。この思考パターンが働くと、いらぬ不快感を抱いたり、脅威を感じたりして、ストレスに悩むことになる。本書には、思い込みすなわち脳の錯覚が生じるカラクリと、そこから抜け出すヒントが紹介されている。

著者は精神科医の和田秀樹氏。国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問などを務め、著書は700冊を超える。

自分の思考傾向を知る

転勤や失恋でストレスを感じる人もいれば、そうでない人もいる。なぜだろうか。違いが生じるのは、その人の思考グセ、思考パターンによって「物事の受け止め方」が異なるからだと著者は説く。

例えば、まずい思考パターンに「過度な一般化」がある。一つの事例や、事実の一部をもとに、「いつも」「みんな」「絶対」などと事象を一般化する思考の傾向を指す。一度ミスしただけで「自分はいつもミスしてばかりのダメな上司だ」などと決めつけるのも、過度な一般化だ。特に心身が疲弊していたりすると、自分ができていることに目を向けられず、何もかもダメだと錯覚しやすい。

元来、まずい思考パターンは、うつ病傾向の人に多い。しかし、「完璧主義」や何でも白黒つけたがる「二分割思考」など、一般の人にも見られるもので、普段は特に困らない。ところが、体調を崩したり、人間関係に悩んだりすると、とたんに問題となる。パフォーマンスが落ちるなどの支障が出るのは当たり前なのに、まずい思考パターンによって、ひたすら否定的に受け止めてストレスから抜け出せなくなるのだ。

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