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直径64メートルの巨大なパラボラアンテナで行方不明のはやぶさを探した(長野県佐久市)=JAXA提供

直径64メートルの巨大なパラボラアンテナで行方不明のはやぶさを探した(長野県佐久市)=JAXA提供

エンジンの故障をはじめ数多くのトラブルに見舞われながら、困難を乗り越えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネージャを務めた、元シニアフェローの川口淳一郎氏は、小惑星からサンプルを持ちかえる世界初の試みを成功に導いた。川口氏の「仕事人秘録」の第16回では、「はやぶさ」を見失った当時の混乱を語ります。

◇  ◇  ◇

2回目の着陸から間もない2005年12月9日に小惑星探査機「はやぶさ」からの通信が途絶、行方不明になった。

キセノンガスをそのまま噴射して何とか姿勢を回復したはやぶさでしが、12月8日に再び燃料漏れが発生します。漏れた燃料がガスになって噴き出し、はやぶさは姿勢を制御できなくなりました。太陽電池パネルの向きがずれて電源も落ちてしまいます。9日午後1時10分、はやぶさからの電波は消えてしまいました。9日、10日と信号を送り続けましたが返信はありません。我々は反応のないモニターを無言で見つめ続けるしかありませんでした。

着陸成功のはずが一転してサンプル採取装置が作動せず、さらにはやぶさも行方不明。まさに天国から地獄です。しかしなんとかしてはやぶさを復活させ、地球に帰還させたい。

希望はありました。はやぶさは不安定な動きに陥っても、時間がたつと安定した回転をする形にできています。回転が安定すれば太陽電池パネルに光が当たって、アンテナも地球に向いて通信できるチャンスが出てくるはずです。

行方不明のはやぶさを見つけるには、長野県に設置された直径64メートルのパラボラアンテナを使います。はやぶさがこのアンテナで捉えられる範囲にいるのは約1年。その間にはやぶさと通信できるチャンスが訪れる確率は60~70%と計算されました。

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