「巣ごもり消費」が定着し、婦人服を通信販売で購入する人は多い。婦人服には「9号」「11号」といった奇数の「号」など、様々なサイズ表記がある。数字は何を示しているのか。

男性にはなじみがないが、そもそも婦人服のサイズ「号」とは何だろう?
「最も目にするのは成人女性のトップバストのサイズだ」
こう説明するのは、JIS(日本産業規格)原案作成本委員会の委員である日本女子大学の大塚美智子教授。上半身に着る服の基準としてJISが定めたという。現在のJIS衣料サイズは1992~94年に実施した全国調査(男女約3万4000人対象)に基づく。
バストは全体の平均値83センチを標準(9号)と定め、すべて奇数で3~31号の設定がある。7号はバスト80センチ、11号は同86センチだ。人体の計測値そのままなので完成した洋服の寸法とは異なる。「号」を付けるのは業界慣習らしい。
婦人服には身長(4区分)、体型(4区分)などもあり、組み合わせた表記もある。
次に、なぜ号は奇数しかないのか?
「もともとは米国のサイズ」と打ち明けるのは服飾技術者を養成するアミコファッションズ(東京・渋谷)の大野順之助社長。65年に大野さんが米国式立体裁断を日本の婦人服技術者に教えるのに必要な人体模型「人台」を開発したのがきっかけという。
日本人女性の人体計測データが米国の10代前半の若者を対象にしたジュニアサイズに近かったため、7、9、11とジュニアを参考に番号を付けた。米国には8や10の偶数で成人女性向けの「ミスサイズ」もあったが、起伏が大きく、きゃしゃな日本女性にはなじまなかった。「米国でジュニアに奇数を割り当てた理由はわからない」(大野さん)
大手合繊メーカーを通じて、人台とともに奇数番号が服のサイズとして瞬く間に業界に広まり、JISの号につながった。号が広まる以前は「大・中・小」などのサイズがあったそうだ。